2004年10月22日(金)「しんぶん赤旗」
十八日から訪中していた北朝鮮の金永南最高人民会議常任委員長は胡錦濤国家主席、呉邦国全国人民代表大会常務委員長、温家宝首相のトップ三人と会談、天津を視察して二十日に帰国しました。
これらの会談では、中朝友好関係の維持・発展について話し合ったあと、最大の課題である朝鮮半島の核問題を議論。その結果、いずれも「朝鮮半島の非核化」「対話を通じての問題の平和的解決」で一致したことが強調されました。
温首相は「対話の進展はやや困難になっている」と率直に認め、金委員長に「信頼を増やし、違いを減らしていくべきだ」と訴え、北朝鮮が対話に前向きな姿勢を見せるよううながしました。
中国国営新華社通信は、金委員長と三首脳との会談報道で「六カ国協議」という言葉は使いませんでしたが、外務省の章啓月報道官は「北朝鮮は六カ国協議開催に向けての中国の努力に感謝した」「北朝鮮の六カ国協議への態度はまったく変わっていない」といういい方で、今回の協議を通じて六カ国協議の枠組み維持で合意を取り付けたことを強調しました。
ただし本来九月までに開かれる予定だった第四回六カ国協議の開催時期については、金永南委員長は最後まで明言しませんでした。これについて中国側が一貫して「できるだけ早く」と表明していたのにたいし、北朝鮮側は、いつ開けるかについての意向は示さなかったとみられます。米大統領選挙で民主党・ケリー氏が「米朝二国間交渉を」と打ち出していることもあって、選挙の結果を待っているという観測が一般的です。しかし中国はなお、協議の前に開かれる実務者による作業部会を十月中に開く可能性をさぐっています。
中国の作業部会代表をつとめる寧賦魁・朝鮮半島問題特別大使は、訪米して米国当事者と協議。第四回協議の議長を務める武大偉外務次官も、ロシアの六カ国協議代表であるアレクセーエフ外務次官と協議しています。
中国の一部には「六カ国協議が動かないまま一年もたつと、米国は北朝鮮問題を国連に持ち込むだろう。北朝鮮は“制裁は戦争だ”と認識している。そうなるとたいへんなことになる」(張l瑰・中国共産党党学校教授)との懸念の声もあります。
それだけに中国は、「北朝鮮の核問題の解決は、六カ国協議がいちばん合理的な方法だ」(十九日、章啓月外務省報道官)といいます。
(北京=小寺松雄)