2004年6月29日(火)「しんぶん赤旗」
志位和夫委員長は二十八日の札幌での記者会見で、北海道の陸上自衛隊・矢臼別演習場に在沖縄海兵隊第三師団の砲兵部隊を移転させる動きの根源に、「米国がいま世界規模で進めようとしている米軍基地の再編の動きがあることを見る必要がある」と指摘しました。
志位氏は、ブッシュ米大統領が二〇〇三年十一月に明らかにした海外の米軍の配備、基地の再編の新しい方針について、「機動性」と「一体化」の二つのキーワードがあると指摘。「この方針の具体化で在日米軍基地に二つの重大な動きがある」とのべました。
一つは、米軍が世界への介入戦争に乗り出すうえで、基地をいっそう機動的なものにするという問題です。
志位氏は、在沖縄米軍のグレグソン前四軍調整官が「日本全体が従来のように静かに浮かぶスイレンの葉のようなものではなく、アジア全域への米軍の動きをやりやすくするための戦略的中軸、ハブのようなものとして今後、機能することになろう」とのべたことを紹介。「在日米軍基地を中軸=出撃拠点にして世界中に動けるように機動的なものにするものだ」と批判しました。
もう一つは、米軍と自衛隊の「一体化」という問題です。
志位氏は、在沖第三海兵師団の砲兵部隊を矢臼別演習場に移転させる動きも「一体化」の重大なあらわれだと指摘。沖縄の海兵隊がイラクでファルージャの虐殺をやり、イラクに送られている自衛隊の中心が北海道などの陸上自衛隊であることをあげ、「北海道と沖縄という離れたところではなくて、一体化して演習もやり、一体で出て行くことも考えようという流れのなかで、こういう動きが出ていることが重大だ」とのべました。
さらに(1)神奈川県のキャンプ座間に米本土から米陸軍第一軍団の司令部を移転し、陸上自衛隊と米陸軍とを「一体化」する(2)府中にある航空自衛隊航空総隊司令部の米軍横田基地への移転を米軍が言い出し、航空自衛隊と米空軍を「一体化」する―などの動きをあげ、すでに米第七艦隊と海上自衛隊が横須賀を拠点に「一体化」が進んでいることとあわせ、「非常に重大で危険な動きだ」と強調しました。
そして「一体になって何をやるかといえば、海外に出て行くということだ。こうした“基地国家”をいつまでもつづけていいのかということも、この選挙で問われる大きな問題だ」とのべました。