2004年6月27日(日)「しんぶん赤旗」
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第一は、憲法じゅうりんをなし崩し的に進めるという点です。志位氏は、これまで政府が武力行使を伴う多国籍軍への参加は憲法上許されないとしてきたことをあげ、「その多国籍軍への参加を決めたのだから政策の大転換となる。ところがその説明を政府はできなかった」とのべました。
政府は、自衛隊が多国籍軍の指揮下に入らないとする「了解」を米英両国の政府から得たとして「憲法上問題ない」としてきました。これについて志位氏は、国会に提出された文書でも「だれとだれが『了解』したのかまったく定かでない」と指摘。前日の民放テレビの党首討論番組で、志位氏の追及に小泉首相が「了解」をあたえた米英側高官の名前について、知っているとも知らないとも答えられなかったことをあげ、「“名なしの権兵衛”による『了解』は何の担保にも、保証にもならない。憲法上問題ないという政府の言い分は完全に崩れた」とのべました。
同時に、ロドマン米国防次官補は多国籍軍が米軍の指揮下に入ると明言し、マクレラン米大統領報道官も多国籍軍が米軍司令部に監督されているとのべていることをあげ、「“名前入り”の米高官は自衛隊が米軍の事実上の指揮の下に置かれるとのべている。多国籍軍参加は憲法違反の道に踏み込むものだ」と批判しました。
第二は、多国籍軍の一員になることが日本をこれまでと違った危険で罪深い道に引き込む点です。
これまで政府は自衛隊は「連合軍の一員ではない」としてきました。志位氏は、多国籍軍に参加し、その一員になれば、これまでとはまったく違った立場に日本を置くことになると指摘。米軍がファルージャなどで繰り返しているような残虐行為に共同で責任を負う重大な立場に置かれることを警告しました。
第三は、イラク国民によるイラクの国家再建にとっても、きわめて有害だという点です。
志位氏は「占領軍による世論調査でもイラク国民の九割は占領軍を信頼しておらず、七割は暫定政府に占領軍の撤退を求めている」と強調。アラブの二十二カ国・機構が加盟するアラブ連盟のムーサ事務局長が新聞のインタビューで「外国軍がイラク国内の混乱の原因であることは明らか。自衛隊は占領軍と同じ。早期に撤退を」とのべていることを紹介しました。
志位氏は、「イラク国民の声も、アラブ諸国の声も自衛隊は帰ってくれというものだ。首相は重く受け止めるべきだ」と強調。
国連決議一五四六がイラクに主権を返還することを認めたが、「無法な侵略戦争をやり、残虐行為を繰り返す米軍が駐留を続ける限り、イラク国民がほんとうの国の主人公になったと実感できる状況にならない」と指摘し、「外国軍が居座ることがイラクの事態の悪化の原因になっていることに照らしても、それに加担する自衛隊の多国籍軍参加は、イラク国民にとって有害、無益なものだ」とのべました。
志位氏は、これらの三つの重大問題がうきぼりになったとして、「多国籍軍への自衛隊参加に反対し、すみやかな撤退を求める。参院選の争点の一つとして訴えたい」と強調しました。