2004年5月23日(日)「しんぶん赤旗」
小泉純一郎首相は二十二日、北朝鮮の金正日総書記と平壌市郊外の大同江迎賓館で日朝首脳会談を行いました。両首脳は二〇〇二年九月に署名した「日朝平壌宣言」について「日朝関係の基礎」として再確認。小泉首相は会談後、平壌市内のホテルで記者会見し、「日本と北朝鮮との間の国交正常化交渉再開に向けて、事務当局間でよく打ち合わせして、協議を再開したい」と表明しました。
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また、拉致被害者五人の北朝鮮に残された家族八人のうち、地村保志さん(48)夫妻の長女(22)、長男(20)、二男(16)と蓮池薫さん(46)夫妻の長女(22)、長男(19)の五人が同日夜、首相とともに帰国。曽我ひとみさん(45)の夫ジェンキンスさん(64)と長女(20)、二女(18)の三人は、北朝鮮にとどまることを望んだことから、帰国問題を相談するため、北京で再会する方向で調整することになりました。
首相は記者会見で今回の訪問について「日朝平壌宣言を誠実に履行することがきわめて重要であることを確認することが最大の理由だ」と指摘。「両国の敵対関係を友好関係に変えていく、対立関係を協力関係に変えていくことが両国にとって最も利益になるという大局的な話をしたい」と訪朝の目的を説明し、「(金総書記と)率直に会談を行い、お互い日朝平壌宣言が日朝関係の基礎であるということを再確認した」と述べました。
首相の会見によると、会談では、拉致問題でこのほか、北朝鮮が「死亡」「入国の事実なし」とした拉致被害者十人について、金総書記が「本格的な再調査」に同意。調査には日本側も参加することになりました。
北朝鮮の核開発問題では、首相が「北朝鮮にとってもっとも利益になるのが核の完全廃棄だ」と主張し、金総書記は「朝鮮半島の非核化が目標だ。六者会合を活用して平和的解決に向けて努力したい」と発言。ミサイル問題も、発射実験のモラトリアム(一時中止)を再確認しました。
これに対し首相は「(北朝鮮側が)日朝平壌宣言を順守していく限り、日本は制裁措置の発動はしない」と表明。また、北朝鮮への人道支援として、国際機関を通じて二十五万トンの食料と一千万ドル相当の医療品の支援を表明しました。
首相は帰国後、拉致被害者や家族に会談内容を報告しました。
日朝平壌宣言 二〇〇二年九月十七日におこなわれた史上初の日朝首脳会談で、小泉純一郎首相と金正日総書記が調印しました。二〇〇二年十月中の国交正常化交渉の再開で一致。日本側は過去の植民地支配に「痛切な反省と心からのおわび」を表明し、北朝鮮側は日本国民の生命と安全にかかわる懸案問題の再発防止措置をとることを約束しました。さらに「朝鮮半島の核問題解決のため国際合意の順守、関係諸国の対話促進の必要性」なども確認しています。 |