2004年5月15日(土)「しんぶん赤旗」
小泉純一郎首相が二十二日に北朝鮮の平壌を訪問し、金正日総書記と首脳会談を行うことが十四日決まりました。細田博之官房長官が同日午後の記者会見で発表しました。これを受け首相は同日夕、記者団に対し、首脳会談では「拉致の問題、核の問題(などを)日朝平壌宣言にのっとって包括的に議論しようと思う」と語りました。
細田官房長官の発表によると、今回の首相訪朝は「日朝双方が日朝平壌宣言を履行していく考えであることを改めて確認し、日朝間の信頼関係の回復を目的」にしています。首相は「日朝平壌宣言に沿って、拉致問題を含む日朝間の諸問題、核問題など安全保障上の諸問題を包括的に解決した上で、北東アジア地域の平和と安定に資する形で日朝国交正常化を実現する」という基本方針に基づいて首脳会談に臨むとしています。
首相は、訪朝を決めたことについて「日朝国交正常化に向けて前進の可能性があると判断した」と説明。八人の拉致被害者家族の帰国については「これから話し合ってからだ」と述べました。
一方、細田官房長官は記者会見で、拉致被害者家族の帰国について「首脳会談が行われることで、前進を期待することはできる」との認識を示しました。
日本共産党の市田忠義書記局長は十四日夕、小泉純一郎首相が北朝鮮を訪問すると発表したことについて国会内で記者団から質問され、「日朝首脳会談を通じて、拉致問題をはじめ『日朝平壌宣言』で確認された方向での前進を期待したい」とのべました。
市田氏は拉致問題をはじめとする両国間の懸案について、「私たちは一貫して平和的、外交的手段で誠実に話し合いを通じて解決するという立場だ」とのべました。
拉致問題について、「日朝二国間問題であると同時に、北朝鮮が重ねてきた数々の国際的な無法の一つであり、国際社会に仲間入りしていく上でどうしても超えなければならない問題だ」と指摘。核問題と「同時に六カ国協議」などを通じて国際的視野で論議するとともに、「日朝二国間でも、きちんと話し合いで解決していくべきだ」と強調しました。