2004年2月26日(木)「しんぶん赤旗」
北朝鮮核問題 |
【北京=田端誠史】北朝鮮の核問題をめぐる日本、北朝鮮、韓国、米国、中国、ロシアの第二回六カ国協議は二十五日午前、北京の釣魚台国賓館で開幕しました。冒頭あいさつで北朝鮮を含む各国が協議の進展を希望しました。中国外務省の劉健超報道官は、核問題の平和的解決と協議の枠組み継続で共通認識が得られたことを明らかにしました。
冒頭あいさつで中国の王毅外務次官は、問題解決のために各国が建設的な態度で柔軟性を示すよう求めました。劉健超外務省報道官によると、王次官は全体会議で「北朝鮮への制裁、封鎖、圧力には賛成しない。まして武力行使やその威嚇には反対する」と述べ、核問題は北朝鮮の安全保証と関連付けて解決すべきだと述べました。
北朝鮮の金桂冠外務次官は協議の再開を国際的な平和解決の意志とみなし、今回各代表団の努力で肯定的な結果を出したいと希望、「原則を堅持しつつ柔軟性を発揮する」と述べました。一方、基調演説では米国が追及しているウラン濃縮計画について存在そのものを否定する従来の立場を繰り返しました。
米国のケリー国務次官補は北朝鮮に濃縮ウラン型、プルトニウム型の計画を含めた「検証可能で後戻りできない核の完全廃棄」を要求し、それが達成されれば他国とともに北朝鮮の安全保証を供与する用意があると表明。同時に、米国が北朝鮮を侵略する意思のないことも明確にしました。
韓国の李秀赫外交通商次官補は六カ国協議の二カ月ごとの定期化と作業部会の創設、ロシアのロシュコフ外務次官も作業部会創設などを提起しました。
日本の藪中三十二外務省アジア大洋州局長は基調演説で、濃縮ウランを含むあらゆる核計画の放棄の確約を北朝鮮に要求するとともに「拉致問題を含む諸問題の包括的解決」を求め、日朝国交正常化が実現すれば経済援助する用意があると述べました。
本会議終了後、米朝、日朝などの二国協議が行われました。日朝協議で北朝鮮は、拉致問題に関する日本の主張を本国に伝えることを約束し、今後も政府間協議を継続することで双方は一致しました。
濃縮ウラン 天然のウランには0・7%しか含有されていないウラン235の濃度を人工的に高めたウラン。天然ウランに99%以上含まれるウラン238はほとんど核分裂を起こさないのにたいし、ウラン235は核分裂を起こしやすい。ウラン235の含有率に応じて低濃縮ウラン、中濃縮ウラン、高濃縮ウランといいます。核兵器の原料になるのは含有率が90%以上の高濃縮ウラン。