2004年1月28日(水)「しんぶん赤旗」
年金財源のためには、消費税増税もやむを得ないのではないですか。
いいえ、消費税に頼らなくても年金財源を確保することはできます。
基礎年金の国庫負担を二分の一に引き上げることは、すでに法律で約束されています。そのための財源約二兆七千億円は、必要のない公共事業や軍事費の削減、道路特定財源(六兆円)の一般財源化、年金積立金の計画的活用によって十分確保できます。
少子高齢化による年金財源の悪化についても、大企業のリストラを抑え、雇用と所得を守る政策への転換を図れば、年金の支え手を増やし、安定的に年金制度を支えることができます。将来的には、基礎年金部分を発展させて、国と事業主の負担でまかなう「最低保障年金制度」を創設することも可能です。大企業や高額所得者に、所得と資産に応じた応分の負担を求めれば、消費税を引き上げなくても年金制度は維持できるのです。
「将来にわたって安心できる年金制度を」−。多くの国民の願いを裏切っているのは政府や自民党、公明党です。
彼らは、年金財源の悪化を口実に、切実な願いをたてにとって、保険料引き上げ、給付削減をすすめています。それに加えて、ねらっているのが、将来の年金財源としての消費税増税です。
自民、公明の与党は〇四年度税制「改正」大綱で、基礎年金の国庫負担金を三分の一から二分の一に引き上げる財源として、年金課税の強化や所得税の定率減税の縮減・廃止などの国民負担増を主張。さらに、「〇七年度を目途に、年金、医療、介護の社会保障給付全般に要する費用の見通し等を踏まえつつ、消費税を含む抜本的税制改革を実現する」と消費税増税を宣言しました。
民主党も、政権公約の中で、はっきりと「基礎年金財源に消費税を充てる」と宣言しています。
こうした消費税増税しか、年金財源がないかのような主張は、公共事業や軍事費などのムダに本気になってメスをいれ、大企業に応分の負担を求める気がないからです。
そもそも年金財政の悪化は、大企業によるリストラや賃下げによる保険料収入の減少や年金積立金の株式運用の失敗によってもたらされてきました。
年金財源の悪化を招いた原因をただし、空前の利益をあげる大企業や高額所得者にそれにふさわしい負担を求めることこそ、新たな国民負担増によらずに、将来にわたって年金財源を確保する最良の道筋です。
自民党 公明党 | 07年度を目途に、消費税を含む抜本的税制改革を実現する(与党税制「改正」大綱) |
民主党 | 基礎年金財源に消費税を充てる(マニフェスト) |
日本共産党 | 税金の使い方を改め、道路特定財源の一般財源化などで、消費税に頼らなくても財源は確保できる。将来的には、大企業と高額所得者に応分の負担を求めることで財源を確保する |