2004年1月23日(金)「しんぶん赤旗」
日本共産党の志位和夫委員長は二十二日、衆院本会議で代表質問にたち、イラクへの自衛隊派兵問題について、イラク戦争の性格、占領のもたらしているもの、憲法との関係、国際社会についての認識という四つの角度から小泉純一郎首相の根本認識をただし、「イラクへの派兵計画をただちに中止するよう求める」と迫りました。
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第一のイラク戦争の性格をどう認識しているかという問題では、首相は「イラクが大量破壊兵器を保有している」と繰り返し断言。戦争支持の「大義」としていました。
志位氏は「いまにいたるも大量破壊兵器は発見されていない」と指摘。米軍の大量破壊兵器捜索チームが証拠を見つけられず撤収したことなどを紹介し、「『大量破壊兵器の保有』を断言し、戦争の『大義』としたのは誤りだったと認めるべきだ」と迫りました。
第二は、“泥沼化”というべきイラクの状況悪化の原因をどう認識しているかです。
志位氏は国連安保理のテロ対策委員会が十二月の報告書で、戦争と占領がテロリストを呼び寄せたと指摘したことなどを示して、「テロと暴力の横行の根本原因は米英軍による戦争と占領だ。人道支援と占領支配は両立しない」と強調しました。
第三は、自衛隊の占領軍参加と憲法が両立しうるかどうかです。
志位氏は、新たに入手した文書も示して、自衛隊が法的にも実態的にも占領軍の一員となることを明らかにしました。そのうえで「自衛隊が一般のイラク人を殺傷しかねない立場におかれる」とのべ、戦後、他国の国民を殺傷してこなかったという日本への信頼の財産を一気に破壊し、「国益を深刻に損なう」との認識があるのかとただしました。
第四は、首相のいう「国際社会」とは何かです。首相は施政方針演説で、イラク派兵を「国際社会の一員としての責任」だと合理化しました。
志位氏は、国連安保理の理事国で派兵しているのが十五カ国中五カ国にとどまり、非同盟諸国やアラブ・イスラム諸国の圧倒的多数が派兵を拒否していることを指摘。「首相の論理にしたがえば、圧倒的多数は『責任』を果たしていないことになるではないか」とただしました。
そして「アメリカからいわれるままに自衛隊を出す卑屈な従属の態度がどんなに有害で愚かな行為かは明らか」とのべ、イラク派兵は憲法と平和の国際秩序を願う世界の大勢に逆行する歴史的暴挙だと糾弾しました。
小泉首相はテロの原因について一言もふれられないなど、イラク問題での根本認識を欠いた答弁に終始しました。
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イラク派兵の自衛隊部隊が同国を占領統治する「連合国の要員」として扱われ、イラク国内で刑事、民事、行政のいかなる裁判権からも免除され、逮捕も拘束もされないことが、暫定行政当局(CPA)のブレマー行政官から日本政府に送られた書簡で明らかになりました。
二十二日の衆院本会議の代表質問で日本共産党の志位和夫委員長がとりあげました。
書簡は、日本政府がイラクへの自衛隊派兵の「基本計画」を決定した直後の二〇〇三年十二月十二日付で在バグダッド日本大使館の上村司公使に送られたものです。
書簡は自衛隊派兵に「深く感謝」を表明。「自衛隊が連合国要員として、CPA命令第十七号に定められているように処遇されることを確認する」と明記しています。
CPA命令第十七号は「連合国および外国連絡派遣団の要員および契約者の地位」を定めたもの。第一項で「連合国要員」とは、「司令官あるいは連合軍、連合国に雇用された軍に任命されるか、その指揮の下におかれるもの」と定義し、不逮捕特権などを明記しています。
志位氏は、「相手国の領土の占領、そこにおける占領行政など」が憲法九条二項が禁じる「交戦権」の行使にあたるとしてきた政府の見解を指摘。「法的にも占領軍の一員としての地位が保障され、実態的にも占領支配の一翼を担うことになる自衛隊は、まさに憲法に禁止された『交戦権』の行使をおこなうことになる」と追及しました。
小泉首相は「(自衛隊は)主体的に従事するので、占領行政の一翼を担うことにはならない」とのべるだけで、具体的な根拠は答えませんでした。