2003年11月25日(火)「しんぶん赤旗」
【北京24日小寺松雄】十二月の訪米を控えた中国の温家宝首相は、二十一日に米紙ワシントン・ポストのインタビューを受け、二十四日付中国各紙にその内容が掲載されました。台湾、米中経済関係、北朝鮮核問題、中国の経済、政治改革など多岐にわたっています。温首相の答えの多くは、これまでの自身の発言や中国政府、中国共産党の政策方針と変わりませんが、質問に答えていくつかの新しい発言をしています。
ポスト紙のダウニー編集長は最初に台湾問題で「米国に何を望むか」と質問。温首相は「台湾指導者は住民投票なるものを掲げて国家分裂を策し、『台湾独立』活動を強めている」と指摘したうえで、「私が聞きたい、台湾当局は何をするつもりか」と厳しい口調で非難しました。
さらに「それでも台湾当局が今の道を推し進めたときには?」の問いに、「台湾指導部が祖国の領土を切り離そうとしたときには、いかなる中国人民も黙ってはいない。一切の代価を惜しまず、祖国の統一を守るだろう」と強い調子で答えました。またアメリカに対しては「台湾指導部に誤ったシグナルを送らないでほしい」とくぎを刺しました。
ダウニー氏が「北朝鮮がいま核兵器を持っていると認識しているのか」との問いには、「はっきり言って答えられない。私はほんとに知らない」と述べました。
中国チベットからインドに亡命しているダライ・ラマ師について、「彼はチベット独立の考えはないと表明しているが、中国政府は会うか」との問いには、「彼はチベット独立の立場は放棄していないし、中国分裂の活動をやめてもいない」と指摘。「その立場を放棄したなら、われわれは接触や話し合いはできる。いつでも門は開けている」と述べました。
ダウニー氏は温氏が一九八九年の天安門事件の際に天安門広場に行って学生たちに会っていたことをあげ、「彼らは反革命分子であったか、それとも愛国者か」と質問。当時中国共産党書記だった温首相は直接には答えず、「当時、中国の党と政府はすぐ果敢な措置をとって社会の安定を維持し、改革開放を進める決意を固めた。十年来の中国の発展は、安定こそ中国の重要な要であることを証明している」と述べました。