2003年8月16日(土)「しんぶん赤旗」
韓国の盧武鉉大統領は、同国が日本の植民地支配から解放された八月十五日の「光復節」にあたり、忠清南道・天安の独立記念館で行われた日本による植民地支配からの解放記念式典で演説し、北朝鮮の核問題の平和的解決とともに、在韓米軍撤退の可能性に言及し、北東アジアの平和と繁栄のための地域協力を呼びかけました。北朝鮮の核問題では、核を放棄すれば経済開発支援を行う考えを明らかにしました。
大統領は「北朝鮮の核問題は早期に必ず平和的に解決されるべきだ」と強調。「問題解決の糸口が見え始めた」と六カ国協議への期待を示し、「北朝鮮はこの機会を逃してはならない。核を放棄し改革と開放を成功させるべきだ。核兵器は決して体制保障の安全弁にはならない。かえって孤立と危機を招く災いになるだけだ」と述べました。
また、「北朝鮮が核を放棄すれば、われわれは北朝鮮の経済開発のために先頭に立つ。国際機構と国際資本の協力も引き入れる」との構想を明らかにしました。
大統領は、在韓米軍問題にも言及し、「安保をいつまでも在韓米軍に依存しようとする考えは正しくない」と言明。「自主国防」をめざすべきだと改めて強調しました。
さらに、「対策なしに在韓米軍撤退に反対だけを叫んでもだめだ。今や現実の変化を受け入れるときだ」と強調。「北東アジアの秩序が平和と繁栄の秩序に発展しても、一方では対立とあつれきの潜在的な可能性が残る」と述べ、「その間、韓米同盟関係は北東アジアの平和と安定のテコの役割をする」と述べました。
盧大統領はこれまで、在韓米軍は北東アジア地域の「平和の均衡者」として将来も駐留する、と述べてきました。今回の発言は、北東アジア地域の平和が進展すれば米軍の役割がなくなることを指摘したもので、将来の在韓米軍撤退の可能性を示唆したものとして注目されます。