2003年7月13日(日)「しんぶん赤旗」
九日からソウル市内のホテルで開かれていた韓国と北朝鮮の第十一回南北閣僚級会談は十二日、共同報道文(合意書)を発表し終了しました。焦点の北朝鮮の核開発問題は「適切な対話の方法を通じて解決していく」とし、「進行中の経済協力事業が早く実を結ぶよう協力する」ことでも合意しました。
韓国代表団スポークスマンは記者会見で、「われわれは、北朝鮮が多国間協議に出てくることだけが、情勢を安定させ北朝鮮にとっても有利だと説得した」と述べ、「その結果の合意内容であるので、その(多国間協議の実現)可能性を示唆しているとみてよい」と強調しました。
このほか合意書は、▽九月十一日前後に離散家族再会を実施▽南北社会文化協力機構を設置▽八月十五日の南北民間共同行事を支援▽第十二回南北閣僚級会談を十月十四―十七日に平壌で開催―などを盛り込みました。
会談で韓国代表団長の丁世鉉・統一相は、核問題解決に向け米朝両国に韓国、日本、中国を加えた五カ国協議の必要性を主張し、「核問題が解決すれば、北朝鮮の安全も保障され、国際社会との経済協力と南北経済協力も早く推進できる」と、北朝鮮を説得。多国間協議を合意書に明記するよう主張しました。
これに対し、北朝鮮代表団長の金〓(月へんに令)星・内閣責任参事は「対話による平和的解決は基本だが、核問題は米朝間の問題であり、米国が圧殺政策を転換すれば対話の形式にはこだわらない」との従来の立場を変えず、韓国側に「民族共助」による平和実現を求めました。
韓国側は、緊張緩和のために第二回南北国防相会談の開催を求めましたが、北朝鮮側は韓国軍が北朝鮮を「主敵」と表現していることや、在韓米軍が機動性を高めるための再編を準備していることなどを理由に難色を示しました。
合意書は南北経済協力推進委員会を八月中に開催し、経済協力を促進することを明記しました。韓国統一省は経済協力の意味を「北朝鮮と持続的に関係を維持することにより、核問題の解決を求め、対話の場を広げるテコ」と説明しています。