日本共産党

2003年6月8日(日)「しんぶん赤旗」

北朝鮮核問題

“圧力”を前提とせず、対話での
平和的解決の努力が問われる


 今回の日韓首脳会談は、核・ミサイル・拉致など北朝鮮問題を平和的に解決してゆくことの重要性を浮き彫りにしました。北朝鮮は昨年来、米国の「敵対政策」に対抗するとして「物理的抑止力」論と核兵器開発に固執し、核を外交カードに利用する瀬戸際外交で危機をエスカレートさせてきました。こうした行動は、ブッシュ米政権の先制攻撃ドクトリンに発動の口実を与え、北東アジアの平和を脅かすことになりかねないものです。

 日韓共同声明は、北朝鮮の核問題が「北東アジア地域の平和と安定および国際的な核不拡散体制にとって深刻な脅威」「核兵器の保有はもちろん、いかなる核開発プログラムも容認しない」「核兵器プログラムが検証可能かつ不可逆的な方法で廃棄されなければならない」としています。

 また、日韓共同声明は核問題を「平和的、外交的に解決しなければならない」ことを確認。さらに、「北朝鮮の核問題等懸案問題が平和的、包括的に解決され、北朝鮮が責任ある国際社会の一員となれば、北朝鮮に対し国際社会の広範な支援が可能となる」と強調し、核をはじめミサイル、拉致問題などが解決される場合に北朝鮮が得られる利益を提示しました。

 北朝鮮にたいして、そして同時に国際社会にたいして、道理ある対応をすることの重要性を指摘したものといえるでしょう。

 さらに、四月に北京で開かれた米朝中の三カ国協議について、「早期に後続の会談が再開され、対話のモメンタム(はずみ)が維持される必要がある」という意見で一致。米朝間の対話を閉ざさないよう求めました。

 この点は、軍事的手段を含む「あらゆる選択肢」を手放そうとしない米国の立場と対比されます。

 ただ、日韓の間には、「対話と圧力」の並行を主張する日本と、対話を重視する韓国という違いがあります。首脳会談で小泉首相が「対話と圧力が大事だ」と主張したのに対し、盧大統領は「対話に重点を置きたい」と言明しました。

 韓国側は日朝平壌宣言に基づく日朝国交正常化交渉への支援を表明しました。

 共同会見で小泉首相は「圧力は平和的解決の手段だ」と主張しましたが、盧大統領は「北朝鮮の態度は、韓米日がどういう措置をとるか、によって変わる。これを前もって話すことは難しい」と述べ、圧力を前提に論議することは平和的解決にとって逆効果だとの考えを示しました。

 盧武鉉大統領は六日、ソウルで演説し「北朝鮮の核問題の平和的解決と南北関係の進展のためにも、日韓協調は非常に大事だ」と述べました。平和的解決のために日韓がさらに努力しようというメッセージです。

 日韓首脳会談で浮かび上がったのは、この“平和への努力”の重要性です。小泉内閣は、米国におもねる“圧力”よりも、平和的解決への努力が問われています。

 (面川誠記者)


もどる
「戻る」ボタンが機能しない場合は、ブラウザの機能をご使用ください。

日本共産党ホームへ「しんぶん赤旗」へ


著作権 : 日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 Mail:info@jcp.or.jp