2003年5月17日(土)「しんぶん赤旗」
【ソウル16日面川誠】十四日に発表された盧武鉉・韓国大統領とブッシュ米大統領の共同声明が、北朝鮮の核問題解決の方向として「平和的な手段を通じての北朝鮮核兵器の完全かつ検証可能で不可逆的な廃絶に向け、共同作業するとの強い誓約」を表明したことは、韓国では首脳会談の成果として受け止められています。
与党・新千年民主党(民主党)は「韓米同盟関係を再確認し、北朝鮮の核問題を平和的に解決できる契機になった」と評価。野党ハンナラ党も「共同声明は意味があり、大いに歓迎する」との声明を発表しました。
韓国側が首脳会談前の目標としていた(1)韓米同盟関係の再確認と強化(2)核問題の平和的解決(3)経済協力の強化−の三点は、いずれも共同声明に盛り込まれました。
米韓同盟の項で、ソウル中心部を占める竜山米軍基地の早期移転に合意し、「漢江北方の米軍基地の再配置」との表現で米地上軍の削減に言及したことは、朝鮮半島の軍事情勢に大きな変化をもたらすものとして注目されています。
他方で問題点を指摘する声も上がっています。羅鍾一・韓国大統領国家安保補佐官の会見によると、ブッシュ大統領は首脳会談で、先制攻撃能力を誇示することで北朝鮮への圧力にする考えを示しました。盧大統領は会談に先立つ九日、「朝鮮半島の状況には、この原則(先制攻撃)の適用は適切でないことをブッシュ大統領と論議したい」と述べていました。
共同声明を南北関係の進展という点から見ると、韓国が米国に大きく譲歩したともとれる面もあります。当地の北朝鮮専門家は「核問題の深刻化により米国の立場が強く反映した共同声明だ。米国が主導する核問題解決が最優先され、南北関係が従属的な要素になった」と指摘します。
これについて羅補佐官は十五日ワシントンで記者会見し、「核問題が解決されないのに引き続き南北交流協力だけ推進できるだろうか」と述べ、韓国政府としても核問題を最優先させる姿勢を強調しました。
韓国内で論議を呼んでいるのは、共同声明が言及する「脅威の増大に対しては、(北朝鮮への)一層の措置を考慮する」の意味です。羅補佐官は、これが経済制裁を意味するのかとの質問に対し「コメントできない」と回答。「平和的な対処に究極的な限界を感じた時に、他のことも考えてみようということであり、それ以上は答えられない」と言葉を濁しました。