2003年4月22日(火)「しんぶん赤旗」
公明党は、いま行われているいっせい地方選後半戦で、北朝鮮問題を使った破たんずみの反共攻撃を蒸し返し、各地で激しいデマ攻撃を行っています。公明新聞二十一日付も大きな活字で特集記事を組んでいます。自分たちが何をやってきたのか、一言も語らないで、日本共産党の悪口を並べ立てたものです。「北朝鮮問題で一片の反省もせず、朝から晩まで他党の悪口ばかり」(公明新聞)なのは、自分たちではありませんか。
公明新聞は「共産党は拉致事件の棚上げを図り、解決を妨害した政党です」などとのべていますが、でたらめもいいところです。なぜなら、北朝鮮による拉致問題をもっとも熱心に国会でとりあげてきたのも、交渉による解決を真っ先に提案したのも、日本共産党だからです。
一九八八年、日本共産党の橋本敦参院議員(当時)が拉致問題をまとまった形ではじめてとりあげ、政府から「北朝鮮による拉致の疑いが濃厚」(梶山国家公安委員長=当時)という答弁を引き出しました。「拉致疑惑を最も熱心に国会で取り上げて来たのは共産党の議員です」(「横田めぐみさん等被拉致日本人救出の会」の記録集=九八年四月)と指摘されています。
拉致問題の解決の糸口がみえないなか、一九九九年には、日本共産党の不破哲三委員長(当時)が、拉致問題やミサイル問題などの懸案について、“交渉ルートを開き、解決を図れ”と国会でいち早く提案。この提案にそって、同年末に、超党派の訪朝団が実現し、昨年九月の小泉首相の訪朝にレールを敷きました。
公明党はどうか。一九八九年、同党国会議員六人が韓国大統領あてに、日本人拉致実行容疑者・辛光洙(シン・グァンス)の釈放を要望しました。これこそ、拉致問題解決の妨害ではありませんか。
公明党は、“日本共産党は在日朝鮮人の帰国事業に協力し、凍土の地獄に送ったのだから反省しろ”などと攻撃していますが、これも人道問題を党利党略に悪用したものです。
もともと在日朝鮮人の帰国事業は、戦前、強制的に連れてこられたりした朝鮮人の基本的人権と人道にかかわる問題として、在日の方々の自由意志を尊重しておこなわれたものです。
帰国事業は国際赤十字がよびかけ、日本赤十字が主体となり、日本政府が推進。だからこそ、この事業には超党派の政党、社会団体、民主団体が参加し、日本共産党も「人道上の立場」からこの事業を支援しました。それを共産党攻撃に使おうという公明党の悪だくみは最初から成り立ちません。
帰国が始まった当時、創価学会は帰国事業に賛成していました。そればかりか、自分たちの勢力拡大の機会に位置付けていました。
創価学会名誉会長の池田大作氏(公明党創始者)は当時、「北鮮帰還などというのも、やはり東洋広布の大前提なのですから」(『会長講演集』第四巻、一九六〇年一月二十四日の講演)、「南鮮、北鮮、中国、ビルマ、インドにも五世帯、十世帯と御本尊様を受持していく人がだんだんとふえています」(同書、同年四月四日の講演)など、「東洋広布」(アジアに創価学会の勢力を広げる)が進んでいると言っていました。
六七年にいったん中断した帰国事業が七〇年代はじめに再開されたときも、公明党は賛成しています。
公明党の浜四津敏子代表代行は、「北朝鮮と日本共産党は兄弟で仲良し」(二十日、東京)などとでたらめな演説をおこなっています。事実はまるで逆です。
北朝鮮は金日成(いまは金正日)個人崇拝体制で、「国民が主人公」の社会をめざす社会主義とは縁もゆかりもありません。
一九七〇年代初めにはじまったこの個人崇拝体制のおしつけを、日本の政党ではいち早く批判したのは日本共産党です。八〇年代にはいってラングーン爆弾テロ事件、公海上の日本漁船銃撃事件、大韓航空機爆弾テロ事件など、北朝鮮の無法行為を一貫してきびしく批判してきた政党も日本共産党だけです。
このため、日本共産党と北朝鮮との関係は、一九八三年から断絶したままです。
一方、公明党は、一九七二年に竹入委員長が訪朝し、金日成の個人崇拝体制を賛美。九七年には、金正日の総書記就任の際に、藤井富雄「公明」代表が「故金日成閣下の魂を継承され、金正日閣下の指導体制の下でのご繁栄」を願う祝電まで送っています。公明党こそ、まるで兄弟のように個人崇拝体制を賛美した「仲良し」だったのです。
一九九九年十二月に、日朝関係正常化のために超党派の日本国政党代表団が北朝鮮を訪問したときのことです。
日本共産党から穀田恵二国対委員長と私が参加しましたが、個人崇拝を押しつける施設である金日成の像や廟(びょう)などへの「お参り」の日程が組まれていました。
日本共産党は、北朝鮮の金日成個人崇拝体制を拒否してきた、自主独立の党です。
その日本共産党が、民主主義とあいいれない「個人崇拝」を国民に押しつけた人物にたいし、仮に“儀礼”だとしても、頭を下げることはできないと穀田さんと相談して、私たちは代表団の行動には参加するが、一番後ろについて、頭を下げないこと、記帳しないことに決めました。
後ろから見ると、いま北朝鮮問題で口をきわめて日本共産党を非難している自民党や公明党などの代表が、深々とおじぎしているのがよく見えました。
日本共産党の毅然(きぜん)とした態度は目立ったようで、同行した外務省の役人があとで「日本共産党の自主独立というのはそこまでやるんですか」とのべていたほどです。