2003年2月14日(金)「しんぶん赤旗」
十二日の国際原子力機関(IAEA)決議は、北朝鮮の核開発問題を国連安保理に付託することを決めました。北朝鮮がこの間、核開発に関する数々の国際合意に反する言動を繰り返してきたこと、IAEAとの保障措置協定を無視したことからいえば、今回の決議は、関係国の重大な懸念を反映したものです。
今後は安保理の場で協議されますが、重要なことは、今回の決議がIAEAとの保障措置協定に基づく査察受け入れなどを求め、「平和的解決」と「外交的手段への支持」を強調していることです。関係各国は、制裁のための協議ではなく、IAEA決議に沿って問題の平和的解決に努力することが求められます。
昨年十月に米国務省が“北朝鮮は核兵器開発計画を認めた”と明らかにして以後も、北朝鮮は“核兵器をつくる意図はない”と表明。一月二十四日には、韓国との南北閣僚級会談という対外交渉の場でも確認しています。
北朝鮮はその一方で、IAEAの査察官を国外退去させたり、核不拡散条約(NPT)からの脱退を宣言するなど、国際社会が到底理解できない言動をとってきました。
NPTは米国などの核兵器保有を認める一方、新たな核保有国の出現を禁じるという矛盾を抱えていますが、新たな核保有国をつくることを認めるものではなく、北朝鮮はその誓約のうえに条約に加盟したはずです。核兵器開発の意図がないなら、国際社会が納得する形で、それを明らかにすることが求められます。
北朝鮮は、核問題は米朝間の問題だと主張し、多国間の協議に反対してきました。しかし、核兵器廃絶は日朝平壌宣言にもあるように重要な国際問題になっています。北朝鮮は安保理を含む国際協議の場で態度を明らかにする必要があります。
北朝鮮外務省スポークスマンは五日、安保理付託について、「世界の平和と安全問題に責任を持つという安保理で、米国の誤った対朝鮮政策を問題にしないなら、その機構が公正さのないものとなり、従って、われわれはそれを認めないだろう」とけん制していました。
平和的解決のためというIAEA決議に基づいて、当事国の北朝鮮はもちろん、核開発の「証拠」を持つという米国も含め、関係各国は必要な情報を明らかにして、問題の外交的・平和的解決のために努力すべきです。(面川誠記者)