2018年1月21日(日)
独 きょう社民党大会
大連立交渉めぐり対立
【ベルリン=伊藤寿庸】ドイツの連邦議会第2党の社会民主党(SPD)が21日、ボンで全国大会を開き、メルケル首相のキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)との「大連立」継続へ向けた交渉に入るかどうかを決定します。ドイツ政治の行方がかかる大会に注目が集まっています。
今月12日の予備交渉での暫定合意に、SPDの主要な要求が入らなかったことから、党内の一部からは連立参加への批判が強まっており、旧東独の2州とベルリン市で、大連立交渉入り反対を決議しました。
「大連立ノー」と反対の急先鋒となって全国を回っているのがSPD青年部のキューネルト委員長(28)。難民受け入れ数の上限など、メルケル与党の中で最も右翼的なCSUの要求を「丸のみ」したと批判しています。
シュルツ党首など党指導部は、各州組織を訪れ、連立交渉入りへの支持を呼びかけています。しかし意見の対立が深刻で、代議員の自主投票にする州も出ています。19日に会合を開いたノルトライン・ウェストファーレン、ヘッセンの両州は、合意内容の「実質的な改善」を条件に本交渉入りを支持するとの提案を共同提出すると報じられました。
もし大会が連立交渉入りを否決すれば、シュルツ党首の進退問題に発展します。同氏は昨年3月、社民党主導のシュレーダー政権時代に導入された「アジェンダ2010」という労働・社会保障改革を見直し、「社会的公正」を回復することを呼びかけて党首に選出されました。しかし総選挙政策でも、路線の見直しや、貧富の格差縮小へ向けた具体的な方針を打ち出せず、得票率20・5%という歴史的大敗を喫しました。
選挙で大敗したにもかかわらず、同じく大きく議席を減らしたCDU・CSUとの連立を継続することには「党の信頼性が問われる」との声もあります。同時に、「下野したらさらに影響力を失う」との主張も根強い。
欧州では、かつて強大だった社民政党が、ギリシャ、オランダ、フランスなどで得票率5〜6%台に後退しています。
SPD大会が連立交渉入りを可決しても、CDU・CSUと合意した正式な連立協定はSPDの全党員投票に掛けられます。この段階で否決される可能性もあります。
経済紙ハンデルスブラットに対し、歴史家のパウル・ノルテ氏は「SPDのジレンマは、この国の政治全体のジレンマだ。二大政党は、与党と野党に分かれて対案を提示すべきだ」と述べています。