2018年1月19日(金)
パレスチナ難民への拠出金半減
米国は権利奪うな
ガザ・国連事務所前 住民が抗議
【カイロ=小玉純一】パレスチナ自治区ガザ市の国連事務所前では17日、トランプ米政権が16日にパレスチナ難民を支援する国連機関、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)への拠出金半分以上を凍結したことに対し、住民数十人が「食料確保の権利を守れ」などとプラカードを持って抗議しました。
パレスチナ通信によると、パレスチナ解放機構(PLO)幹部のアシュラウィ氏は16日の声明で、「(トランプ)米政権はパレスチナ人の最ももろく弱い人たちを標的にし、パレスチナ難民から教育や医療、居住、尊厳ある生活の権利を奪っている」と非難しました。
ガザのUNRWAの食料配給所は小麦粉やコメ、砂糖、油などを備蓄。ロイター通信によると、同所にきた男性は「すでに厳しいのに、いっそう厳しくなる」と話しました。
ガザはイスラエルが包囲し、屋根なき監獄とも呼ばれます。この10年に3度もイスラエルの大規模攻撃を受け、失業率は5割近い状況。ガザ住民130万人がUNRWAの支援に頼っています。
UNRWAにはガザを含め現在526万人が登録。1948年のイスラエル建国時などで生まれた難民と子孫です。ガザのほか、ヨルダン川西岸、ヨルダン、レバノン、シリアなどに居住します。UNRWAは1950年から活動しています。
イスラエル紙ハーレツは16日、米国の送金が遅れ、ヨルダン川西岸と東エルサレムの教師数十人と、ヨルダンの難民キャンプの従業員100人が一時解雇されたと伝えました。
UNRWAのクレヘンビュール事務局長は17日、声明で「700の学校の52万5000人の少年少女の権利が危うい」とのべ、「緊急食糧援助、基礎的な医療、人々の権利と尊厳が危機にある」「過激化など地域の安定にも影響する」と指摘しました。
米国はUNRWAへの最大の拠出国。PLOのアシュラウィ氏は「米国はパレスチナ難民の権利を守る国連機関を徐々に解体している」と訴えました。