2018年1月17日(水)
生活保護 福島市の処分 違法
奨学金収入認定 削減に賠償命令
福島地裁
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高校入学の娘の奨学金を全額収入認定され、生活保護費を削られた福島市在住の母親のNさんが、同市を相手に国家賠償法にもとづく損害賠償を求めた裁判で、福島地裁(金澤秀樹裁判長)は16日、市の処分が違法だと認め、親子に各5万円ずつの賠償を命じる原告勝訴の判決を言い渡しました。
Nさんは2014年春の同市の処分に対し、県知事と厚生労働大臣に不服審査請求。15年4月30日に裁判を起こしました。同年8月には厚労相が、市の収入認定処分は不当だとして処分取り消しの裁決を下しましたが、同市はその後も「違法ではない」などと繰り返していました。
金澤裁判長は、保護費で賄えない就学費用が発生した場合、生活費不足になることが十分あり得るから、給付型奨学金を収入認定することには慎重な態度で臨むべきだ、と指摘。市には被保護者への適切な助言と調査義務があったが、被告の福祉事務所は奨学金が収入認定除外の対象となるかどうかの検討を行わず、原告から提出された自立更生計画書や添付資料の検討などもせず処分し、公務員の裁量権を逸脱したと述べました。
同裁判長は、事後的に奨学金相当額を追加支給したので損害は発生していないとの市の主張を退け、経済的な不安、精神的苦痛など、原告親子の損害発生を認めました。
勝訴したNさんは「同じ思いをする子が二度と出てほしくないという思いからたたかってきたので、市の違法性が認められたことは大きな意味を持つ」と話しています。また弁護団は、奨学金を収入認定の対象から除外することなどを求めた声明を発表しました。