2018年1月17日(水)
主張
米軍経費過去最大
国民の税金どこまで注ぐのか
安倍晋三内閣が昨年末に決定した2018年度政府予算案で、軍事費は過去最大の5兆1911億円に達しています。その大きな特徴の一つは、米軍への「思いやり予算」、沖縄の辺野古新基地建設費など「米軍再編経費」、「SACO(沖縄に関する日米特別行動委員会)経費」の合計額も過去最大の4180億円に上っていることです。これら経費は、在日米軍の維持経費を米国が負担すると明記している日米地位協定にさえ反するものです。沖縄はじめ全国各地で米軍基地・訓練の強化を進めるため、国民の税金を湯水のように注ぎ込むことは許されません。
膨れ上がる辺野古建設費
4180億円の内訳は、▽米軍への「思いやり予算」(在日米軍駐留経費負担)1968億円(前年度当初予算比22億円増)▽「米軍再編経費」2161億円(同150億円増)▽「SACO経費」51億円(同23億円増)―です(いずれも歳出ベース、以下同じ)。
「米軍再編経費」は、日米両政府が06年に合意した在日米軍再編計画を実施するための費用です。今回、過去最大となりました。普天間基地(沖縄県宜野湾市)に代わる同県名護市辺野古の新基地建設や、厚木基地(神奈川県大和市、綾瀬市など)からの空母艦載機移駐に伴う岩国基地(山口県岩国市)の増強など、米軍の海外出撃のための一大拠点づくりが大きな狙いです。
「米軍再編経費」が過去最大となったのは、辺野古新基地の建設費が816億円(前年度当初予算比280億円増)へとかつてなく膨れ上がったことが要因です。辺野古新基地の建設費は、防衛省沖縄防衛局が強行している護岸工事を加速し、実際の埋め立てに着手するための経費です。県民世論に真っ向から逆らうものです。しかし、名護市長は、土砂の採取・運搬など埋め立て工事を阻止できる権限を持っています。大激戦の名護市長選(28日告示、2月4日投票)で新基地建設反対を貫く稲嶺ススム市長の3選を何としても勝ち取らなければなりません。
米軍への「思いやり予算」の突出ぶりも依然として異常です。
内容は、▽米軍基地で働く日本人従業員の給与などの労務費1521億円▽米軍基地で使用される光熱水料232億円▽米軍基地の施設整備費206億円▽硫黄島での空母艦載機の着陸訓練費9億円―です。米国の同盟国として米軍駐留を受け入れているドイツやイタリアでも、労務費、光熱水料、施設整備費は全て米側負担です。マティス米国防長官は日本の米軍駐留経費負担について「他の国の手本になる」と述べています。
「SACO経費」は、沖縄の米軍基地問題に関して日米両政府が1996年に合意したSACO最終報告を実施するための費用です。米海兵隊が日本本土で本格的な実弾砲撃演習を実施するための輸送費まで負担しています。
日米地位協定にも反する
「思いやり予算」、「米軍再編経費」、「SACO経費」が「日本国に合衆国軍隊を維持することに伴うすべての経費」は「日本国に負担をかけないで合衆国が負担する」とした日米地位協定の規定に反しているのは明白です。財政面でも米軍支援を拡大し続ける安倍政権の異常な対米従属姿勢を根底から改めることが必要です。