2018年1月14日(日)
独二大政党
連立交渉の開始で合意
【ベルリン=伊藤寿庸】ドイツの二大政党であるキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)と社会民主党(SPD)は12日、交渉チームで7日から続けていた予備交渉で主要政策で基本合意し、本格的な連立交渉を開始することで合意しました。9月24日の総選挙以来、政権づくりが3カ月以上難航してきましたが、最初のハードルを越えたことになります。
社民党内には異論も
メルケル首相は、CSUのゼーホーファー党首、SPDのシュルツ党首との共同記者会見で結果に満足を表明しつつ、「連立交渉が、予備交渉より簡単になることはないだろう」と指摘。シュルツ氏は、福祉の充実などの要求が取り入れられたとして評価しました。
連立交渉への青写真となる28ページの合意文書は、欧州政策の刷新、国内の団結強化と分裂の克服、民主主義の活性化、多様な機会と生活保障など八つの柱からなります。
9月の総選挙で極右の「ドイツのための選択肢」(AfD)が初めて連邦議会に進出。このため、メルケル首相率いるCDUの姉妹政党であるバイエルンの地方政党CSUは、難民に寛容な同首相の政策に批判的で、AfDと競うように難民受け入れを制限するよう主張しました。
一方、SPDはより寛容な政策を求めていました。予備交渉ではCSUの主張がほぼ受け入れられ、ドイツ国内の難民と合流できる家族の人数を月1000人まで、年間の難民受け入れ数も22万人を上限とすることなどが盛り込まれています。他方、SPDが要求していた、最高税率の引き上げや、健康保険制度の改革などは含まれていません。
SPD内では、過去2度の大連立の結果、総選挙での歴史的大敗から、下野して党勢の立て直しを図ることを求める声も強い。独自性を打ち出せず、支持離れを招いたことに批判もあります。
党内左派や青年組織はすでに、「大連立」継続反対を表明。21日に開かれる社民党大会での連立交渉入りの賛否を問う採決を行います。大会で求められれば連立への本交渉に入りますが、SPDはその後に合意を全党員投票にかける予定です。
左翼党のリキシンガー共同議長は大連立交渉について「年金や教育、介護、貧困問題など社会的な中心問題を何ら解決しようとしていない」と批判しました。