2018年1月12日(金)
独立行政法人 5年働いても
無期転換9400人ない恐れ
田村議員調査
有期雇用で5年働いた労働者に無期雇用に転換できるルールが4月から始まるのを前に、独立行政法人(独法)の多くが無期転換にむけた方針を持っておらず、約9400人が無期転換されない恐れがあることが、日本共産党の田村智子副委員長・参院議員の調査で10日までに明らかになりました。田村氏の求めに応じて各府省が提出した資料によるものです。
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契約更新に上限を定める有期雇用職員を雇用する独法のうち、5年以上の職員を雇用するのは41法人、10年以上が32法人、独法創設前からが23法人(重複あり)にのぼります。
このうち無条件に無期雇用へ転換すると回答したのは、5年以上の有期雇用職員のいる法人で10法人、10年以上で9法人、独法創設前からは7法人です。
人数で見ると、雇用期間に上限を設けられている有期雇用職員は3万589人。これに対して、5年以上勤務している職員は1万962人で、このうち10年以上が3372人、独法創設前からが1177人です。
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このうち無条件に無期転換されるのは5年以上で1574人、10年以上で786人、独法創設前は198人にとどまっています。
理化学研究所(理研)では5〜10年と長期にわたって契約更新を繰り返し、最長で26年も更新してきた非正規職員がいます。しかし理研は昨年、突然、無期転換ルールを逃れるために、非正規職員に対して今年度での雇い止めを通告。労組が不当労働行為の申し立てをするなど、たたかいが続いています。
独立行政法人 各府省の事務・事業のうち、国民生活の安定などを目的に確実に実施する必要があり、民間に委ねた場合、実施されないおそれがある事務・事業を担っています。2001年4月から創設され、日本学生支援機構や国立病院機構など計87法人(17年4月現在)あります。
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政府責任問われる
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田村副委員長の話 各府省の資料から、長期にわたって契約更新を繰り返し、無期雇用と同視できる職員の雇い止めが、多くの独法で共通する問題になっていることが浮き彫りになりました。
安倍政権は、不本意ながら非正規雇用で働く労働者の正規雇用への転換を掲げています。にもかかわらず、政府が運営に責任を負う独法で非正規職員の無期雇用をすすめる目途がないのは大問題です。
厚生労働省が国会答弁やパンフレットなどで示しているように、恒常的な業務は無期雇用の労働者が担うようにすることが、政府の責任として求められています。