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2017年12月27日(水)

主張

異常突出の軍事費

際限なき軍拡の悪循環を断て

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 安倍晋三内閣が先週末に閣議決定した2018年度予算案は、軍事費の異常な突出ぶりが際立っています。安倍氏が首相に復帰した第2次政権発足以来、軍事費は6年連続の増額で18年度予算案では5兆1911億円に達し、4年連続で過去最大を更新しました。18年度予算案と同時に閣議決定した17年度補正予算案の軍事費も2345億円と、これまでの補正予算で過去最大となりました。安倍政権による9条改憲策動の下、米国の戦争に日本が全面参戦する態勢づくりのため、際限のない大軍拡への本格的な一歩を踏み出す極めて危険な軍事予算案です。

敵基地攻撃能力への布石

 予算案の閣議決定(22日)の直前、軍事費をめぐる重大な動きがありました。

 一つは、北朝鮮の核・ミサイル開発を理由に、新たな地上配備型ミサイル迎撃システム「イージス・アショア」2基の導入を閣議決定(19日)したことです。

 この閣議決定は、軍拡の方向性や計画を示した「防衛計画の大綱」(13年末決定)や5年間の「中期防衛力整備計画」(同)などに「イージス・アショア」の導入を明記していないための異例の措置でした。8月末の防衛省の概算要求段階では1基約800億円と試算されていましたが、閣議決定時には1基約1000億円に高騰していたものの導入を決定しました。

 北朝鮮の弾道ミサイル対処のためとして2004年度から整備が始まった「ミサイル防衛」の予算は18年度予算案と17年度補正予算案を含め、累計で2兆588億円に上ります。「イージス・アショア」の導入などで、今後一層膨らんでいくことは確実です。しかも、「イージス・アショア」の配備は早くても23年度です。5年もたてば北朝鮮のミサイル能力が「イージス・アショア」を上回っている可能性が指摘されており、また新たな迎撃システムが必要だということになれば、文字通り軍拡の悪循環に陥ることは避けられません。

 もう一つの重大な動きは、長距離巡航ミサイルの導入決定です。

 防衛省は概算要求段階では長距離巡航ミサイルの導入を盛り込んでいませんでした。しかし、今月8日に必要経費を追加要求し、予算案に含まれました。「離島防衛」などのためとされていますが、自民党内では「ミサイル防衛」の限界を口実に、巡航ミサイルなど「敵基地攻撃能力」保有を求める声がかねてから上がっていました。

 今回導入を決めた長距離巡航ミサイル(JSM)はステルス戦闘機F35Aから発射し、日本海上空から北朝鮮国内への攻撃も可能とされます。「敵基地攻撃能力」保有の布石であり、さらなる大軍拡の引き金になるのは明らかです。

米国製兵器の大量購入も

 「イージス・アショア」やF35Aのほか、垂直離着陸機V22オスプレイ、新型空中給油機KC46A、無人偵察機グローバルホークなど米国製兵器の購入が膨張しているのも大問題です。米国の「有償軍事援助」(FMS)に基づく18年度の購入予算は前年度比506億円増の4102億円に上ります。沖縄県名護市辺野古への新基地建設など米軍再編経費や米軍「思いやり予算」も増額されています。

 米国に追従し、「戦争する国」づくりを推進する軍拡路線を抜本的に転換することが必要です。


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