2017年12月25日(月)
主張
カジノ推進法1年
賭博国家許さず廃止へすすめ
刑法が禁じる賭博場=カジノを合法化するカジノ解禁推進法を安倍晋三内閣と自民、公明、維新が強行成立させてから、今月で1年です。
政府のカジノ推進本部(本部長・安倍首相)が公表した一般からの公募意見でも、カジノに反対、否定的な声が多数を占めました。「日本を賭博国家にするな」という国民の声は明確です。カジノ推進法は廃止し、同法を具体化する実施法は断念すべきです。
違法なものは違法
カジノは、推進法の施行(昨年12月26日)後1年をめどに、政府が実施への法制上の措置をとるという枠組みです。安倍内閣は、今秋の臨時国会でのカジノ実施法成立をもくろんでいましたが、衆院の解散で法案の提出すらできませんでした。カジノ推進派のスケジュールは大幅に狂いはじめています。
カジノ推進本部が8月にまとめた国内のカジノの制度設計の素案は、矛盾に満ちたものでした。とりわけ、カジノの違法性を阻却(そきゃく)する(しりぞける)法的な論理を示せていないことは、致命的といえます。
推進本部に置かれた有識者会議では、委員から、賭博は「勤労の美風を害する」とした最高裁の判例は「時代遅れだ」とする暴論も出されました。「メリットの方がデメリットよりも大きいという比較衡量のもとでIR(カジノを中核とする統合型リゾート)をやっていくという違法性阻却の骨太の議論、これが出発点になる」(熊谷亮丸委員)というだけでは、何の説明にもなっていません。
安倍首相は第1回のカジノ推進本部の会合で「世界最高水準の規制の導入」で「クリーンなカジノを実現する」とのべました。
報告書はこれにしたがい▽カジノ面積の上限規制▽ジャンケット(大口賭博客の仲介業者)の禁止▽日本人客の入場規制―などを盛り込みました。しかし、日本参入をめざす海外のカジノ運営業者からは「必要な大型施設が造れなくなる」(米・シーザーズ幹部)と異論続出です。
厳しい規制を課せばもうからなくなる、もうけを優先すれば「世界最高水準の規制」は看板倒れになるという大きな矛盾に陥っているのです。
安倍首相は、カジノは「日本の成長戦略の目玉になる」(2014年5月30日)とものべました。日本経済に大きな影響を与えるほどに、日本のIRが大規模で、大きな経済的影響を与えるものだとすれば、その「収益エンジン」であるカジノは、けた外れの巨大なもうけを上げ続けるものでなければならないことになります。
それは、カジノ規制など投げ捨てて、日本国民のギャンブル被害を際限なく広げ、ギャンブル依存症や多重債務問題の拡大、副次的な犯罪の誘発、治安の悪化など、社会を根元から腐らせる亡国の道といわざるをえません。
共同と世論の力で
日本共産党、立憲民主党、社民党、自由党の野党4党はさきの国会で、カジノ解禁推進法の廃止法案を共同提出しました。「カジノ反対」の国民の声を、法案として安倍内閣に突きつけたものです。
カジノ解禁からカジノ法廃止へ、まともな政治をとりもどすために、いま運動と世論を大きく広げるときです。