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2017年12月24日(日)

自衛隊ジブチ基地 「労組敵視」2011年から

防衛省 戦争法行使視野に

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 アフリカのソマリア沖での海賊対処を理由に自衛隊がジブチ共和国内に設置したジブチ基地で、基地内の委託企業とジブチ人労働者の解雇をめぐる労働争議を、自衛隊が装甲車と銃で威嚇し、労働者を排除した“武力介入”事件(本紙10月26日付既報)。自衛隊はジブチ基地の「開所」当初に防衛省内で「対策会議」を開くなど現地労働者対策に強い関心をもっていたことが同基地に詳しい関係者への取材で分かりました。(山本眞直)


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(写真)自衛隊ジブチ基地の設置直後に現地の労働組合結成などの対策会議が持たれた防衛省のA棟(正面)=新宿区市ケ谷

 関係者によれば自衛隊はジブチ基地の開所(2011年7月)後の11月7日に、防衛省内で統合幕僚監部を中心に対応策を協議したといいます。

 当時、ジブチでは、米軍基地で労働組合が結成されていました。

 対策会議では、米軍基地やフランス軍基地での労働争議、結成の動きなどの情報を共有、自衛隊としての対応を協議したといいます。

 協議の中で統幕運用部の担当者(2佐)が、米軍基地での解雇事件をめぐり労働争議に発展、これへの米軍司令部の対応や、フランス軍基地の労組結成の動きを説明。「海自の拠点でも組合が結成されるのは時間の問題だ。しかし結成は困る」との認識を示し、警戒感をあらわにしたといいます。

 防衛省・自衛隊のかたくななまでの日本基地労働者組合への「敵視」の動機はなにか。

地図:ジブチ

 防衛省は11月に、基地東側の土地3ヘクタールの新たな借り上げでジブチ政府と合意するなど、ジブチ基地を「集団的自衛権」行使を視野に入れた基地拡張、一大兵たん拠点化の具体化を加速させています。

 自衛隊が、基地内でのジブチ人労働組合の活動を禁じ、労組を容認した下請け企業の排除という「実力行使」の動機は、戦争法のもとで米軍軍事作戦への地球規模での支援の具体化にあることは明らかです。

労働争議に「武力介入」

事前に対策を協議か

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(写真)ジブチ自衛隊基地のジブチ人労働者解雇、労組排除を強行した富士貿易の日本本社=横浜市中区

 ジブチ基地での労組結成の“予感”は的中しました。日本基地労働者組合(STBJ)は2016年3月に結成され、同労組はジブチ労働総同盟(UGTD)にも加盟し、ジブチ労働省に登録をする合法組織です。

 下請け企業は労組の存在を認め団体交渉で業務受託中の雇用確保、賃金保証、人権尊重などの労組側の要求について「当然のこと」と合意しました。

 関係者は今回の自衛隊による労働争議への「武力介入」について「発端は労組結成にある」と証言します。

 防衛省・自衛隊は労働争議への「武力介入」についての本紙の取材に「威嚇した事実はない。雇用関係は業務委託先企業の責任で行われるもので、答える立場にない」としました。

 しかし本紙が入手した日本基地労働者組合(STBJ)からジブチ労働相への救済介入を求めた要請文(16年6月21日付)によれば、「日本軍(自衛隊)がSTBJの法的承認を拒否している」と訴えています。

 このなかで同労組はジブチ政府の法的承認、ジブチ労働総同盟の加盟証明など「すべての必要な行政文書とともに自衛隊に提出されている」にもかかわらず自衛隊はそれらの文書を下請け企業の元請け会社に「返送した」としています。

 ジブチ人労働者を全員解雇したジブチ自衛隊基地内の営繕・施設管理などの業務委託を受注している富士貿易(本社・横浜市)は、解雇理由、自衛隊との協議内容などについての取材申し入れに、「答えられない。(理由は)会社の方針だ」と拒否しています。


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