2017年12月20日(水)
極右政権参加に抗議 ウィーンでデモ
【ベルリン=伊藤寿庸】オーストリアで右派・国民党、極右・自由党の連立政権が18日ウィーン中心部で就任式を行いました。極右政党の政権入りに対し、朝から数千人による抗議デモが行われました。
デモは、市内五つの場所から始まりヘルデンプラッツ(英雄広場)に集結。全学生対象の学費導入に反対する学生連盟や女性団体、左翼系団体などが参加しました。「教育は権利だ。ぜいたくではない」、「右翼に反対」「ナチに統治させるな」などのプラカードが掲げられました。
就任式で、ファンデアベレン大統領は、「政府の計画に賛成、中立の人とともに、多くの批判的な人がいる」と演説。ナチスの過去を念頭に置いて「われわれの歴史の明るい面とともに最も暗い側面にも責任を取る」ことを強調。「異論を持つ人の尊重、少数派の権利の尊重、社会的弱者への支援が必要」と述べました。同大統領は2016年に自由党の候補者を破って就任しました。
今回の連立政権では、内務、国防、外交など重要閣僚を自由党に割り当てました。
ハーバート・キックル内務相は、2000年に自由党が初めて政権に参加した当時のハイダー党首(その後ナチス賛美発言で辞任)のスピーチライターを務めました。昨年リンツで開かれた「欧州の防衛者」と題した欧州の極右・新右翼が集まる集会に参加しています。
マリオ・クナセク国防相は、軍人出身で、「アイデンティティー運動」などの極右団体との関係が深い。16年に難民申請者は夜間外出禁止にすべきだとフェイスブックに書き込んだと報じられています。
カリン・クナイスル外相は、自由党が推薦する中東専門家です。