2017年12月14日(木)
温暖化防止へ資金動員
「パリ協定」2周年サミット 100カ国超が参加
【ベルリン=伊藤寿庸】地球温暖化を2度未満に抑えることを目指す「パリ協定」の成立から2周年となる12日、フランス政府の呼びかけで「ワンプラネット(地球は一つ)」サミットがパリで開かれました。100カ国以上から政府首脳や閣僚、企業、NGO(非政府組織)などが参加し、温暖化対策を資金・金融面から支援することをテーマに討議しました。
マクロン仏大統領は、パリ協定に基づく地球温暖化対策の水準が不十分な現状を念頭に「たたかいに負けつつある」と警告しました。会議では、拘束力のある目標や宣言は採択せず、民間や公共の金融機関による温暖化対策への資金拠出、投資家による働きかけなどを通じてパリ協定履行を後押しすることを目指しました。
会議を通じて、総計26兆ドル(約3千兆円)の資産を管理する200以上の機関投資家が、温暖化ガス大量排出企業への圧力を強めると声明。
欧州連合(EU)のドムブロフスキス副委員長は、地球温暖化防止に関わる銀行投資について、投資先の資本要件緩和の計画を発表。EUは12日、持続可能な都市、エネルギー、アフリカやEU周辺諸国での持続可能な農業への90億ユーロ(約1・2兆円)の投資計画も発表しました。
ベルギーは二酸化炭素排出削減事業の資金調達のための債権を初めて発行すると発表。これはポーランドやフランスに続くものです。
世界銀行は2019年以降、石油・ガスの開発・生産への投資を停止するとしました。
フランスの保険会社AXAは、環境にやさしい事業への投資を20年までに4倍に増やし、石炭産業からの投資引き揚げを進めるとしています。
化石燃料に投資やめよ
NGOデモ
【ベルリン=伊藤寿庸】「ワンプラネット」サミットの開催された12日、パリのパンテオン広場で、環境NGOなどが共同し、「パリ協定」2周年にあたって化石燃料への投資停止を求めるデモが行われ、500人以上が参加しました。
サミットに向けて、地球温暖化対策への資金拠出を約束するにとどまらず、化石燃料産業への支援や融資を直ちに止めるようアピールしました。
市民団体は前日の11日、化石燃料のもたらす被害を受けている現場からの証言を聞き、化石燃料を断罪する「人民法廷」と銘打った集会も開催。
集会の「判決」は、化石燃料への融資を行っている公的および民間金融機関が「基本的人権を侵害している」と批判。また、化石燃料の採掘などを通じて、「人権と共有地への権利を侵害し、国際条約を侵害している国家を告発」しました。