2017年12月10日(日)
エルサレム首都認定 米 孤立鮮明
欧州5カ国「和平に無益」 安保理緊急会合で共同声明
【ワシントン=池田晋】米国がエルサレムをイスラエルの首都として認定したことを受けて8日に開かれた国連安全保障理事会の緊急会合では、米国と「特別な関係」と呼ばれることが多い英国を含む欧州5カ国が「無益」と批判する共同声明を出すなど、米国の孤立が鮮明になりました。パレスチナは和平の仲介役として米国は「失格」だと強く反発、認定撤回を求めました。
共同声明に加わったのは、安保理常任理事国の英仏、理事国のイタリア、スウェーデン、非理事国のドイツを加えた5カ国。最近の安保理はシリアや北朝鮮問題をめぐり米英仏と中ロの対応が分かれることが多く、異例の展開となりました。
声明は、米国の決定が過去の安保理決議と合致せず、和平見通しの点でも「無益」で、「賛成できない」と表明。5カ国は「和平プロセス再開のため、信頼しうる全ての取り組みに寄与する用意がある」とし、米国に提案の具体化を促しました。
会合の場でも、英国は「東エルサレムは占領されたパレスチナの領域だ」、フランスは「エルサレムの地位は和平合意の文脈で当事者間により決められるべき」、スウェーデンは「(エルサレムの)最終的地位の問題に関する交渉結果を先取りする危険があり、和平の見通しを脅かす」と述べました。
パレスチナは、「違法で、無責任で、挑発的な決定だ」と非難。「法と被占領者の権利を犠牲に、占領者寄りに振る舞う一当事者(米国)が和平プロセスを独占し続けることはできない」と述べ、国際社会の関与の必要性を強調しました。
米国は、「イスラエルに対する敵意の世界最大の中心地」が国連だとして、批判で応酬。「イスラエルが不当に国連で攻撃されれば、もはや傍観しない」と述べ、露骨にイスラエル寄りの姿勢を示しました。イスラエルは米国に感謝を述べ、エルサレムに大使館を移すよう他国にも求めました。