2017年12月10日(日)
安保理 米国批判相次ぐ
エルサレム問題 日本は「感謝」 際立つ追随
【ワシントン=遠藤誠二】国連安全保障理事会は8日、トランプ米政権がエルサレムをイスラエルの首都と認定し、大使館をテルアビブからエルサレムに移すと表明したことを受けて、緊急会合を開催しました。米政権の決定について批判が相次ぎました。日本の別所浩郎大使は直接的な批判を避け、「(トランプ大統領が)和平に強く関与するとしたことに感謝する」とまで述べ、米国に追随する姿勢が際立ちました。
緊急会合の開催は英、仏、スウェーデンなど8理事国が要請。代表してスウェーデンのスコーグ国連大使は今回の米国の決定に「明確に反対する」と断言。「(決定は)国際法と国連決議に矛盾する」と指摘しました。
英国のライクロフト大使も「同意しない。この決定は、和平の可能性にとって助けにならない」と発言。フランスのドラットル大使も「米大統領の決定を遺憾に思う」と述べました。
エジプトのアブラッタ大使は「エジプトは米国の決定を非難する」と強い口調で批判。「そのような一方的な決定は、(エルサレムの地位についての)国際的な正当性を侵害するものだ」と主張しました。
一方、米国のヘイリー大使は、1995年に米議会が大使館移転決議をあげた後、クリントン政権時から歴代の大統領が大使館の移転を支持しながら実行に移さなかったが、「トランプ大統領が最終的に決断した」と自画自賛しました。
別所大使は、トランプ氏が中東和平に強く関与し、イスラエル、パレスチナの2国家共存の解決を支持したことを「感謝する」と述べました。