2017年12月7日(木)
長距離巡航ミサイル導入検討
政府 敵基地攻撃能力へ布石
政府は6日までに、射程900キロ超の長距離巡航ミサイルの導入について検討に入りました。性能上は北朝鮮の核施設や弾道ミサイル発射基地などを攻撃することも可能な装備です。将来の敵基地攻撃能力保有への布石となり、中国など周辺国の反発が予想されます。2018年度予算案への調査費の計上を検討する方向です。
長距離巡航ミサイルは、敵のレーダーで捕捉されない遠い場所から発射できる利点があります。政府は米国製の空対地ミサイル「JASSM―ER」など複数のミサイルを候補としています。航空自衛隊のF15戦闘機や、来年3月までに配備されるF35Aステルス戦闘機への搭載が検討されており、機体の改修などで来年度以降に具体的な調査を行いたい考えです。
同省はすでに、18年度概算要求で、「諸外国が保有するミサイルの長射程化を踏まえ」るとして、新たな島嶼(とうしょ)防衛用対艦誘導弾の研究経費を計上しています。「島嶼防衛」を口実に、敵基地攻撃能力の保有をなし崩し的に拡大する危険があります。
政府は敵基地攻撃について、法理上は憲法が認める自衛の範囲内との見解を示してきました。しかし、「他国を攻撃するような、攻撃的な脅威を与えるような兵器」を平時から保有することは「憲法の趣旨とするところではない」(1959年3月19日、伊能防衛庁長官)として、能力の保持は行わないとしてきました。
一方で、事実上の敵基地攻撃能力である、対地攻撃能力を持つF2戦闘機や空中給油機の配備を進めてきました。敵基地攻撃能力を完成させるためには偵察衛星や電子攻撃機など、さらに多くの装備が必要であり、大軍拡の扉を開く危険があります。