2017年12月4日(月)
ドイツ 極右政党大会に抗議
差別反対 8000人デモ
「すべての人と連帯」
【ハノーバー(ドイツ北部)=伊藤寿庸】9月の総選挙で初めて連邦議会に第3党として進出した極右政党「ドイツのための選択肢」(AfD)が全国大会を開いているドイツ北部ハノーバーで2日、同党の親ナチ、人種差別、移民排斥の主張に抗議する約8000人(主催者発表)のデモが行われました。
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「人種差別に反対して立ち上がろう」と、市民団体や労働組合、教会関係者が共同で開いたこの日の集会では、ナチのユダヤ人大虐殺の生存者マリアン・ウィルケ氏(88)が「戦争と迫害から逃れてきたすべての人たちとの連帯」を呼びかけました。支援団体「難民委員会」の地元ニーダーザクセン州組織のジークマール・ワルブレヒト氏は、「AfDに対して、既成政党が譲歩をしている。難民を犠牲にして、法秩序の問題として解決を図ろうとしており、これが難民への憎悪を増大させている」と批判しました。イスラム教徒団体の代表は「イスラムへの攻撃はすべての宗教への攻撃だ」と語りました。
デモでは、「人種主義は選択肢(代案)ではない」などの横断幕が登場。「AfDは偽の代案」と手書きしたプラカードを掲げていたマールブルクの大学生アンナさん(27)は、「AfDは恐怖を振りまく。ボーイフレンドが黒人ですが、将来子どもができた時、AfDの政府ができていたらどんな目に遭うか。愛する人の命のためにデモをしています」と語りました。
「1930年代の歴史を繰り返すな」のプラカードを掲げていたデービッドさん(27)=米独二重国籍でベルリン在住=は、「ナチ党が30年に18%の得票率を得た時、多くの人は大したことはないと思っていたが、3年後に政権を掌握していた。ドイツでその再来は望まない」と、プラカードに込めた思いを説明。AfDが総選挙で「抗議票」を集めたと言われていることにも、「既成政治への怒りから、彼らのような基本的人権を支持しない党に信頼を寄せてしまうこと自体が危険なことだ。この党は、じきにすべての人に対して敵対してくるだろう」と警戒していました。