2017年11月26日(日)
きょうの潮流
秘密保護法案が国会提出される前に「業務に支障が出る」と修正を求めた行政機関があります。国の財政執行を監視、検査する役割を担う会計検査院です▼憲法90条は「国の収入支出の決算は、すべて毎年会計検査院がこれを検査」すると規定しています。秘密保護法下では、政府機関が「特定秘密」を口実にして検査に必要な資料や情報の提供を拒む恐れがある、と検査院は懸念したのです▼1880年に誕生した検査院には戦前の苦い経験が。旧陸海軍などの支出の多くは「軍事機密」を盾に検査の対象外でした。憲法90条の厳格な規定は、その反省に立ったものです。『会計検査院百年史』は、新憲法のもとでは「(例外を)設けたりすることは許されない」ときっぱり記しています▼それほど重い意味をもつ検査。学校法人「森友学園」への国有地巨額値引き問題では、値引きの根拠となったごみの量について最大7割過大だと指摘しました。「適切に処理した」という政府の主張が根底から崩れたのです▼122ページにわたる検査院の報告書は、国側の撤去費用根拠が不十分であることを詳細に指摘しています。しかし、適正価格については判断を示しませんでした。近畿財務局などが裏付けとなる資料を廃棄したと言っているからです▼やはり検査院だけでは限界が。司法の場はもちろんですが、国民を代表する国会の場で徹底的に真相解明をすすめてほしい。こんな時に野党の質問時間を短縮しろなんて、通る議論ではないはずです。