2017年11月15日(水)
陸自 日米演習の“意義”浸透へ
地方議会に研修案内
国民動員の体制づくり狙う
東北各県・市町村
今月29日から12月13日まで仙台駐屯地(仙台市)で5年ぶりに実施する陸上自衛隊と米陸軍による日米共同方面隊指揮所演習「ヤマサクラ(YS)73」で、陸自が東北各県や市町村の議会に対し演習の内容を浸透させるための「研修」を計画していることが14日、本紙が入手した文書などでわかりました。戦争法=安保法制の下で、米軍と自衛隊による軍事作戦全般に自治体や国民を動員する体制づくりが狙われています。(佐藤つよし)
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研修については10月、演習担任官の東北方面総監、山之上哲郎陸将名で東北各県や市町村の議会に案内状が送付されました。
案内状では、同演習について、陸海空を一括して指揮する統合運用と日米共同作戦の戦闘指揮・司令部運営能力、自治体など関係外部機関との連携能力の向上を図るものだと説明し「東北方面隊として最も重視している演習」だと強調。「演習の一端を御紹介し、自衛隊に対する御理解を一層深めていただく」ために「研修」に参加するようよびかけています。
研修の細部については、(1)演習概要の説明(2)施設の案内―などの内容で12月6〜11日のうち希望する午前8時半〜10時か午後4時〜5時半の1時間半実施となっていました。
YS演習では2012年12月に仙台駐屯で実施されたYS63から、自治体や民間の輸送、医療など関係機関も参加した国民保護訓練を実施。国民保護法(04年成立)に基づき米軍の軍事作戦に自治体などを動員する体制づくりが進んでいました。
今回のYS73では、すでに9月5日と今月8日に国民保護訓練を実施。演習期間中の「研修」について陸上幕僚監部広報室は、国民保護訓練とは別枠だとして「日米がどういうところで調整所を運用し、演習にはこういう意義があるということを聞いてもらう、演習全般の中身についての研修」だと説明。軍事演習の内容を広報するものだと言明しました。
日米共同方面隊指揮所演習(ヤマサクラ) 1982年から始まり、陸自の北部、東北、東部、中部、西部の各方面隊と米陸軍の軍・軍団レベルの司令部が、米国での計画策定会議と日本での指揮所演習の毎年2回実施する演習。コンピューターシミュレーションとネットワークを使った指揮所演習(図上演習)で、陸自は方面隊が毎年持ち回りで参加しています。