2017年11月12日(日)
COP23inボン
気候はビジネスじゃない
石炭推進の日本に非難
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【ボン(ドイツ西部)=岡本あゆ】ドイツ・ボンで開催されているCOP23(国連気候変動枠組条約第23回締約国会議)で、石炭火力への批判が高まる中、国内外で石炭火力を推進する日本が名指しで非難されています。
9日、海外での日本の石炭投資を批判する行動が、会場前で行われました。
インドネシアやフィリピンなどの参加者が「日本は途上国の石炭火力発電所への投資をやめろ」と訴えました。温暖化対策に逆行し、発電所建設の強行による、住民への人権侵害にも加担していると厳しく指摘します。
フィリピンのゲイリー・アランセスさんは、「世界の石炭関連開発の80%はアジアで行われています」と強調。「日本の姿勢は、アジアをもう一度破壊しているようなものです。東南アジアの人々の命を、今度は間接的な形で奪っている」と訴えました。
会議の「裏テーマ」
日本は同日、温暖化対策に消極的な国に与えられる「化石賞」も受賞。今月6日、途上国での石炭火力・原子力発電所の建設推進をうたう覚えがきを米国と交わしたことが理由でした。
NGO関係者は「脱石炭は、今回のCOPの裏テーマです」といいます。「このまま石炭火力を使い続ければ、世界の気温上昇を2度未満に抑えるという、パリ協定の目標が達成できないからです」
交渉議題にこそなっていませんが、会場ではほぼ毎日、脱石炭のシンポジウムが開かれており、大きな注目点となっています。
国内外で石炭火力を推進する日本。海外の石炭関連事業に突出した投資をしており、支援額では主要7カ国(G7)でトップです。国内でも42基の火力発電所が建設計画中です。
日本政府は、日本の石炭火力技術は高効率でクリーンだと主張しています。気候ネットワークの伊与田昌慶研究員は、「どんな高効率の石炭火力でも、使い続ければパリ協定目標は達成できないと、科学者がすでに報告しています」といいます。
「日本国内では設置されている汚染除去装置が、支援した途上国の発電所にはついていないなど、クリーンとの主張も疑問です」
脱石炭にかじ切れ
10日、脱石炭を掲げるNGOが米国パビリオンで講演。草の根NGOの活動によって、米国内の半分以上の石炭火力発電所が運転を止めたと報告しました。NGOの代表が「米国内で起きている動きは、ひとりの大統領が覆せるようなものではありません」と述べると、会場から拍手が起こりました。
FoE Japanの深草亜悠美さんは、「米の市民社会も含め、先進国は脱石炭に動いていて、米政権が孤立している状況。そこに日本がついていってしまうのは、とても残念です」と語ります。
「地球温暖化に歴史的責任のある先進国として、日本も脱石炭にかじを切るべきです」