2017年10月24日(火)
人種差別許すな
ドイツ 極右政党に抗議デモ
連邦議会開会に向け1万人
連邦議会の招集を直前に控えたドイツの首都ベルリンで22日、先の総選挙で議席を獲得した極右政党の人種差別に反対するデモが行われました。約1万人が参加し、連邦議会に対し、移民に寛容な社会づくりを訴えました。ロイター通信などが伝えました。(日隈広志)
デモは東西ドイツ統合の象徴として旧東西ベルリンの境界に位置するブランデンブルク門から出発し、観光客などでにぎわう目抜き通りを行進。極右政党「AfD(ドイツのための選択肢)」が掲げる「反移民」の主張を念頭に、連邦議会に対して人種差別を許すなと要求しました。
デモ参加者は「連邦議会での人種差別と憎悪に抗議」などと書かれたプラカードや横断幕を掲げました。
AfDは、メルケル政権が2015年から百数十万人の移民・難民を受け入れる中、「ドイツがイスラム化している」「移民は法と秩序の脅威」などと主張。9月24日の総選挙では二大政党の退潮を受け、得票率12・6%に達し、連邦議会で極右政党が戦後初となる94議席を獲得しました。旧西独部に比べ低賃金などが続く旧東独部で高い得票でした。
ドイツの海外向け公共放送ドイチェ・ウェレ(DW)によると、デモを呼び掛けたトルコ移民のアリ・カン氏(23)は「ドイツ憲法を読んだことがある私には、AfDの主張は衝撃だ」「憲法第3条は出身地にかかわらず差別も厚遇も受けないと明確に述べている」と指摘。互いに尊重し合う寛容な社会づくりを呼び掛け、その先頭に国会議員が立つよう求めました。
デモに参加した女性(韓国出身)は「40年ドイツで育って生活してきた。『これが私の故郷だ』って言いたい。民主主義のためにたたかわないと」と話しました。
デモは多くの運動団体や個人が支援。父親がウガンダ、母親がドイツ出身で、ドイツのヒップホップ・レゲエバンドの歌手、ジョニー・ストレンジ氏はDWに対し「13%の有権者がAfDを選んだが、残りの圧倒的多数は違う。その人たちの声こそ傾聴されるべきだ」と訴えました。