2017年10月11日(水)
紛争地の子ども救え
死傷8000人超 人道法違反1万5000件
20カ国 国連調査
“国際社会は責任を”
国連は、紛争地の子どもに関する年次報告書(2016年)を発表し、8000人以上の子どもが殺害または負傷させられ、兵士として徴用されるなど国際人道法に反する事例は20カ国で1万5000件にのぼることを明らかにしました。グテレス国連事務総長は紛争当事者に対し、国際人道法に基づき、子どもを直ちに擁護するよう訴えました。(鎌塚由美)
5日、発表された報告では、アフガニスタン、イラク、シリアなど20カ国の状況をリポート。空爆や戦闘に巻き込まれるなどして死亡したり、重傷を負った子どもの数は、アフガンが3512人と最も多く2009年以来の最悪となり、次いでイエメンが1340人以上、シリアが1299人、アフリカのソマリアが1121人となっています。
子どもの死傷を含め国際人道法に反する事例は約1万5000件ですが、うち政府軍による子どもの保護に反する事例は、少なくとも4000件にのぼるとしています。子ども兵として徴用されるケースはシリアでは、851件で前年より倍増しました。ソマリアでは1915件でした。
報告を取りまとめたガンバ国連事務総長特別代表(子どもと武力紛争担当)は、「子どもが標的になる国際人道法違反は、全く許容できない」と述べ、報告されている事例は、子どもたちをめぐる深刻な状況の一部にすぎないと指摘しました。
報告では、武装グループや政府が、人道支援のアクセスを拒否し、子どもたちがさらに窮地に追いやられる傾向が広がっていることを指摘。学校や病院などへの攻撃はほとんどの国で報告され、多くの子どもたちから教育を受ける権利が奪われていると警告しています。
ガンバ氏は、「アフガン、中央アフリカ、ナイジェリア、ソマリア、シリアなどの国では、子どもたちは戦争や暴力の体験しかしていない。これらの子どもたちを見捨てないよう、国際社会が共同で責任を果たすべきだ」と強調しました。