2017年10月11日(水)
国と東電を断罪
原発事故・生業訴訟で判決 福島地裁
東京電力福島第1原発事故をめぐって福島県の全市町村や隣接する宮城県、茨城県、栃木県の住民約3800人が国と東京電力に約160億円の損害賠償などを求めた「生業(なりわい)を返せ、地域を返せ!」福島原発訴訟の判決が10日、福島地裁(金澤秀樹裁判長)でありました。金澤裁判長は、国と東電に法的責任があったとして総額約5億円の支払いを命じました。同様の集団訴訟の判決は3件目。国の責任を認めたのは3月の前橋地裁に続く2件目になります。
一方、住民が求めた原状回復(居住地の事故前の放射線量以下に戻す)の請求は退けました。しかし、国が賠償の範囲などを定めた「中間指針」の賠償地域より広い地域について賠償対象にしました。
金澤裁判長は、2002年7月につくられた「三陸沖から房総沖にかけての地震活動の長期評価について」(長期評価)は、「専門的研究者の間で正当な見解」と評価。福島第1原発の敷地高を超す15・7メートルの津波を予見できたとし、国に対して「2002年末時点における津波対策義務に関する規制権限の不行使は、許容される限度を逸脱して著しく合理性を欠いていた」と断罪しました。(関連記事)