2017年10月5日(木)
“銃規制 今こそ”
ラスベガス事件 米社会に衝撃
議会・政府に行動迫る
【ワシントン=遠藤誠二】死者58人、負傷者500人以上を出し米国史上最悪となった米西部ネバダ州ラスベガスの銃乱射事件で、銃が簡単に手に入るにもかかわらず、規制がほとんど行われていないという銃社会の深刻な実態が改めて浮き彫りになりました。事態を受け米国内で銃規制を求める声が相次いでいます。
大統領 緩和を推進
銃被害をなくす活動に取り組む「銃暴力を防止するブレイディ・キャンペーン」は、「国民を守る包括的な銃規制法が必要。議会はすべての米国民を守るため今、行動すべきだ」と声明。
2011年に頭部を銃で撃たれたギフォーズ元下院議員は2日、連邦議会前で会見し「国家はあなたがた(議会)を頼りにしている」と述べ、銃規制強化を訴えました。
民主党では、「議会とホワイトハウスは人の命を守るため今、行動をとるべきだ。何もしないことへの言い訳はない」(バイデン前副大統領)、「われわれ(議会)がこれをとめるため何かしないなら、この事態は終わらない」(マーフィー上院議員)と法的な銃規制強化を進めようとする意見が出ています。
ワシントン・ポスト紙は3日の社説で、1996年の銃撃事件後、銃規制を行ったオーストラリアの例をあげ、「政治的な意思・指導力の欠如が米国を(銃規制ができない)ユニークな国にしている」と批判しました。
一方、トランプ大統領は3日、犯行は1人の「病人」「発狂した人物」の所業だと強調しました。大統領は「銃を規制する法律については時が経てから協議する」と述べるだけです。
凶悪犯罪が後を絶たない中、米国の銃規制は進んでいません。トランプ大統領や共和党議員は、強力な支援組織である全米ライフル協会(NRA)の後ろ盾をうけているため、銃規制緩和にむしろ積極的です。
トランプ大統領は、今年2月、精神疾患を持つ人による銃の購入の規制を撤廃する法案に署名。現在、下院では、銃に取り付けるサイレンサー(消音装置)の購入規制を緩和するという規制とは逆行する法案が審議されています。
■米国での主な乱射事件と犠牲者数
1999・4・20 コロラド州のコロンバイン高校で生徒2人が乱射、生徒ら13人死亡
2007・4・16 バージニア州のバージニア工科大学で男子学生が乱射し学生ら32人を殺害
2012・12・14 コネティカット州ニュータウンの小学校で男が乱射。子どもら26人死亡
2015・12・2 カリフォルニア州サンバーナーディーノの福祉施設で男女が乱射し、14人死亡
2016・6・12 フロリダ州オーランドのナイトクラブで男が乱射、49人死亡
2017・10・1 ネバダ州ラスベガスで男が乱射 少なくとも58人死亡
(ロイターをもとに作成)