2017年8月28日(月)
バルセロナ 50万人がデモ
「テロに屈しない」
スペイン 平和と共存訴え
スペイン北東部バルセロナで26日、テロを糾弾し、文化・宗教の違いを乗り越えた共存の重要性を訴える行進が行われました。同市のシンボルカラーである赤・黄・白のバラを持った市民ら50万人(警察発表)が大通りを埋め、スペイン紙プブリコは「テロと戦争政策に反対する市民の叫び」と報じました。
報道によると、同市を含むカタルーニャ自治州内で発生した一連のテロ事件(17日)では15人が死亡、120人超が負傷し、28人はいまだに入院治療中です。この日の行進はバルセロナ市と自治州政府が主催しました。車両が突入したランブラス通りで救命作業に当たった消防士や警察官、逃げ惑う観光客を助けた地元商店主が犠牲者遺族とともに先頭集団で行進。最前列には「私は恐れない」と大書きされた横断幕が広げられました。
年金生活者の女性ビクトリア・パディジャさん(59)はロイター通信に「私たちがここにいるのは、怖がっていない、団結して平和を願っているというためだ」と語りました。
バルセロナは古くから移民や外国人を受け入れ、多くの観光客が訪れる自由で開かれた国際都市として知られてきました。しかし、事件の犯人がイスラム圏のモロッコ国籍だったことから、イスラム教徒を敵視する動きもあります。行進では「最良の回答は平和だ」「イスラム教憎悪に反対」などのプラカードも掲げられました。
行進終了後に開かれた集会で発表された宣言は、「死や破壊を通じて恐怖を引き起こし、私たちの共存のモデルを破壊しようとするだけの犯罪だ」とテロ行為を糾弾。「私たちはテロに屈服や敗北することを許さない。彼らが攻撃すれば、私たちはバラバラになるどころか、自由と民主主義を守るために一層団結を深めることになる」と強調しています。
行進にはラホイ首相とともに国王フェリペ6世も参加し、注目を集めました。(菅原啓)