2017年8月15日(火)
トランプ氏発言で釈明
米政権 人種差別不問に全米批判
【ワシントン=池田晋】米南部バージニア州で12日に発生した白人至上主義団体やネオナチなどによる集会参加者に対し、これに抗議する市民らとの衝突による死傷事件をめぐって人種差別への明確な批判を避けたトランプ大統領の発言が全米で批判を呼んでいます。ホワイトハウスは13日、トランプ氏の発言に対する釈明声明を出しました。
衝突の最中に、20歳男性が運転する車が高速で群衆に突っ込み、32歳女性が死亡、19人以上が負傷しました。米メディアは運転手の男性がヒトラーやナチスの思想にひかれていたとする証言を伝えています。
トランプ氏は12日、衝突の発生について、「多くの側面での憎悪、偏見、暴力のとんでもない表出を、可能な最も強い言葉で非難する」と述べました。
しかし、トランプ氏が白人至上主義に対して名指しでの非難を避け、「多くの側面」とどちらの側にも非があると受け取れる表現を使ったため、メディアや与野党議員、人権団体から一斉に批判の声があがりました。
共和党のコリー・ガードナー上院議員は「私たちは悪を名指しで呼ばなければならない。これは白人至上主義者であり、国内テロだ」とツイッターに投稿。ホワイトハウスは、大統領が非難した対象に、「白人至上主義者やKKK(クー・クラックス・クラン)、ネオナチ、全ての過激集団が含まれる」との声明を報道官の名義で発出。トランプ氏はツイッターで沈黙を貫いたままです。
昨年の大統領選でトランプ氏は、白人至上主義者らから多くの支持を集めて当選したとされます。