2017年8月3日(木)
オスプレイ・フィルター欠陥 改善めどなし防衛省認める
9月にも自衛隊向け初号機
米海兵隊の垂直離着陸機MV22オスプレイがエンジン・フィルター(ろ過装置)に重大な欠陥を抱えている問題で、防衛省は現段階で改善のめどが立っていないことを認めました。
米政府は9月にも自衛隊向け初号機を日本に引き渡す見通しです。このままでは、墜落のリスクを抱えたまま、自衛隊への導入と米海兵隊普天間基地(沖縄県宜野湾市)所属のオスプレイの運用が続くことになります。
2015年5月にハワイでMV22が砂(さ)塵(じん)に巻き込まれてエンジン内に異物を吸い込んで墜落、乗組員2人が死亡しました。米海兵隊は「操縦士の判断ミス」と結論づけた上で「エンジン・フィルター・システムの改良」を提言しました。
本紙は昨年7月24日付で、米軍当局が事故前からオスプレイのフィルターに「小さな粒子は通過してエンジン内に吸い込んでしまう」という欠陥を抱えていると認識していながら、改善が間に合わないまま日本での運用・配備を進めていると報道。自衛隊オスプレイの配備が狙われている佐賀県が今年1月26日、本紙の報道を受けて防衛省九州防衛局に質問を出しました。
九州防衛局は5月11日付で、エンジン・フィルターの改良は「航空機の長期にわたる運用期間を通じて不断に行われていく一般的な改善措置として対応されるもの(米軍内における予算等を踏まえつつ実施されていくもの)」だと回答。「長期」的な課題であり、予算もついていないとの認識を示しました。
同時に、「人的な要因の結果、設計上想定されている時間以上に砂塵の中でのホバリングを継続し、エンジン内に過剰に砂塵を吸い込むこととなった」と述べ、「操縦士のミス」という米側の認識を踏襲しました。
しかし、死亡した操縦士の両親は「砂ぼこりがエンジンに吸い込まれ、オスプレイが安全に飛行できないことが証明された」として昨年3月、メーカーなどを提訴。次世代の垂直離着陸機が実戦配備されるまで、V22オスプレイの飛行停止を求めています。