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2017年7月24日(月)

エルサレムで緊張激化

旧市街のモスクめぐり

国連安保理が協議へ

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 【カイロ=小玉純一】エルサレム旧市街のアルアクサ・モスク(イスラム教礼拝所)をめぐる緊張激化について、国連安全保障理事会が24日に協議する見通しです。エジプト、スウェーデン、フランスが22日、開催を求めました。ロイター通信が伝えました。


 エルサレム旧市街周辺やヨルダン川西岸各地では22日も、イスラエルが同モスクの敷地入り口に門型の金属探知機を導入したことに対する抗議行動が続きました。西岸ではイスラエル兵が抗議行動に向けて実弾を放ち、パレスチナ人男性(24)が死亡しました。

 抗議行動ではそのほか、17歳、18歳、20歳のパレスチナ人も死亡。目撃情報によれば、それぞれイスラエル兵、ユダヤ人入植者、イスラエル警官に撃たれています。

 一方、21日夜には西岸のユダヤ人入植地で、パレスチナ人(20)がユダヤ人の家族4人をナイフで襲い、うち60歳と40歳の男性、40歳の女性合わせて3人が死亡しました。容疑者は近隣の人に銃撃され病院に運ばれました。

 容疑者は襲撃前、フェイスブックに「アルアクサ・モスクのために死ぬのは素晴らしい」と書き込んでおり、同モスクをめぐる問題が動機だとみられています。

 イスラエル軍は22日、容疑者の住む村で、村人の移動を制限して容疑者の兄を拘束。イスラエルのリーベルマン国防相は、同国の政策に沿って容疑者の家を直ちに取り壊すと述べました。

 パレスチナのアッバス議長は21日夜、テレビで演説し、イスラエルによる探知機導入について「治安を名目にアルアクサ・モスクを支配し、政治紛争を宗教紛争に転換する狙いだ」と指摘。イスラエルが探知機設置を取りやめるまで「接触を停止する」と述べました。

 イスラエルのネタニヤフ首相は21日の閣議で、武器持ち込みを阻むために探知機を維持すると決めています。探知機がもたらす安全上の効果よりも、それが引き起こす怒りが上回っているとの異論が政府部内にはあったとする報道もあります。


解説

聖地の一方的な「主権」要求

イスラエルがエルサレム旧市街のアルアクサ・モスク(イスラム教礼拝所)の敷地入り口に金属探知機を設けたことにこれほど強い反発が起きる背景には、イスラエルが同敷地への「主権」を求め、占領支配を強めるなかでこの措置が取られたことがあります。

 イスラム教徒はこの敷地をハラム・アッシャリフ(「高貴な聖域」の意)と呼び、聖地となっています。ユダヤ教徒にとっても「神殿の丘」と呼ばれる聖地です。

 ハラム・アッシャリフではユダヤ人が礼拝することは禁じられています。イスラエルは1967年の第3次中東戦争で旧市街を占領した際、それまで統治していたヨルダンとの合意で礼拝の禁止を受け入れました。

 イスラエルのニュース・サイト「ローカル・コール」のヤエル・マロム編集長は今回の事態について、「イスラエル当局が占領地である東エルサレムの人口や地形をユダヤ人に有利な形に徐々に変更していくという『エルサレムのユダヤ化』の文脈でとらえるべきだ」と指摘します。(米紙ワシントン・ポスト電子版20日付)

 2000年9月にイスラエル右派野党のシャロン党首(当時)が「神殿の丘」を訪問しました。これは東エルサレムをパレスチナに返還することを阻止するのが狙いとされ、パレスチナ人が抗議し、イスラエル治安部隊と衝突し、多数の死傷者が出ました。

 ワシントン・ポスト紙によると、これを機に「神殿の丘」での礼拝権を求める宗教右派極右の活動がイスラエル内で特に活発になりました。15年には当時の外相代行が「神殿の丘にイスラエル国旗がなびく姿を見たい」と語り、敷地を「イスラエルの主権の中心部」だと呼びました。

 16年の世論調査では、パレスチナ人の半数以上が“イスラエルはアルアクサ・モスクを破壊しようとしていると懸念する”と回答しました。(島田峰隆)


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