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2017年7月11日(火)

イラクがモスル「解放」宣言

復興・帰還 問題は山積

米は対IS空爆継続

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 【カイロ=小玉純一】イラク首相府は9日、声明を出し、「アバディ首相が解放されたモスルに着き、英雄的な兵士とイラク国民の偉大な勝利を祝った」として、過激組織ISに対するモスルでの勝利を宣言しました。モスルはISのイラクでの最大拠点。政府軍が掌握するのは2014年6月以来3年ぶりです。

 これによってイラクとシリアでのISの領域支配は、ISが首都とするラッカ(シリア)など、いくつかの街や地域に限られることになりました。それだけにISは各地で自爆攻撃や襲撃を止めません。各国は、退却した戦闘員やISの思想に傾倒した個人が犯行に及ぶと見て警戒しています。

 モスル奪還作戦は昨年10月から本格化。戦闘は数千人の市民の命を奪い、人々に精神的打撃を与え、インフラも破壊しました。

 モスルの人口は当初約200万人でした。この3年で約半数が同地を出て避難民キャンプなどに身を寄せています。人道支援のほか、モスルのインフラ復興と住民の帰還へ課題が山積しています。今後の統治について「イラク政府はなんら計画を示していない」との批判があります。

 モスル作戦にはイラク軍のほかにシーア派民兵、クルド人部隊が参加しました。クルド人勢力の支配地拡大の動きや、シーア派勢力のスンニ派への迫害など、民族と宗派対立の危険が根強くあります。

 米英の03年のイラク侵攻とその後の占領下であおられた対立です。このもとでテロ組織アルカイダはISに「進化」しました。イラクの政治には、各勢力の和解と協力の合意が必要だと、識者は口々に指摘しています。

 モスル作戦では米国主導の有志連合が空爆で支援しました。民間調査によると有志連合の空爆は、モスルで昨年10月から累計約1000回。民間人少なくとも900人を巻き添えにして殺しました。

 ISが14年6月にモスルを制圧しイラクとシリアにまたがる領域を支配したのに対し、有志連合は同年8月からイラク、9月からシリアで空爆を開始。累計約2万3000回実施し、4300人を超す民間人を巻き添えにしました。ISは「米国などがイスラム教徒を殺すのを許していいか」と世界各地でのテロを鼓舞してきました。

 米軍は対IS空爆を続ける方針です。


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