2017年7月5日(水)
隊発足以来 銃剣道の訓練中自衛隊死者2人
宮本徹議員要求に防衛省回答
胸突く危険な技 中学で教えていいか
自衛隊が発足以来、銃剣道の訓練中に死亡し、公務上の災害として認定された隊員が2人いることが、4日までに明らかになりました。日本共産党の宮本徹衆院議員の調査要請に対し、防衛省が答えたものです。
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同省の調査によれば、災害の概要は「木銃で突かれたことによる衝撃を受け、死亡に至った」とされています。同省担当者は「資料が残っておらず詳細はわからないが、訓練中なので防具は着けていたと推測される」と話します。
銃剣道は、文部科学省が3月告示した新中学校学習指導要領の教科「保健体育」の武道で、選択種目の例に突然明記されました。
宮本議員は4月10日の決算行政監視委員会で、銃剣道が明記された経緯や危険性について質問。昨年1年だけで、自衛隊員が銃剣道訓練で負傷し、公務上の災害と認定された件数は59件あることが、明らかになっていました。発足以来の死亡者数については不明だったため、調査を求めていました。
銃剣道は相手の喉や左胸などを突く競技であり、自衛隊関係者からも「学校で絶対に教えるものではない」と不安の声があがっています。学校に押し付けないよう全国で要請行動が行われています。
元は軍事教練
学校体育研究同志会長野支部・中学校教員の小山吉明さんの話 銃剣道は、明らかに中学校で扱ってはならないものだと思います。その理由は二つあります。
銃剣道は明治以降に、軍事教練として発展してきたものです。戦後、銃剣道連盟が発足して、他の武道・スポーツと同じように発展してきた、といわれています。しかし、多くの銃剣道家は自衛隊員で、自衛隊の軍事教練に通ずる武術という側面を色濃く残しています。これが、扱ってはならない理由の一つです。
もう一つは、技の主体が「突き」だということです。剣道にも「突き」がありますが、危険なので中学生の技としては禁止されています。銃剣道で「突き」を教えることは非常に危険です。また「暴力」と決別していない銃剣道を中学生に教えれば、教師の側は意図していなくても、暴力の一手段として使う生徒が出てくる可能性は否定できません。
そもそも、なぜ学習指導要領にもちこんだのか、という文部科学省の真意も疑わざるを得なくなります。