2017年7月3日(月)
イラク・モスル 民間人犠牲者最大1200人
有志連合空爆 民間団体が報告
【カイロ=小玉純一】米主導の有志連合による空爆作戦を追跡調査する民間団体エアウォーズは1日、イラク第2の都市モスルを過激組織ISから奪還する作戦についての報告を発表しました。イラク軍などが作戦を本格化させた昨年10月17日から今年6月末まで、米有志連合の空爆などによる民間人犠牲者数を900人から1200人と見積もりました。
モスルでの空爆回数は約1000回。加えてフランス軍などの砲撃もあります。
報告は、米国が確認した悲劇として1月13日にISを狙ったはずが学校に命中してしまった空爆を紹介。午前9時に起きた空爆で2人の子どもを失った父親は、その2カ月後にようやく遺体の一部を回収して埋葬することができたといいます。
マティス米国防長官は5月に米テレビで「IS殲滅(せんめつ)作戦」を実行中で、「民間人の死傷者は日常よくあること」と語ったうえで、「民間人の犠牲を出さないようにしている」と述べました。
米外交問題評議会のゼンコー研究員は6月19日付の米紙ニューヨーク・タイムズに寄稿し、イラクとシリアで民間人犠牲者を調査する米軍の常勤者について、現在は7人いるものの、同月13日までは2人だったと指摘。カタールには約1万人もの米軍が駐留しており、「軍が民間人犠牲を懸念するなら(調査する人員を)もっと増やすはずだ」と述べています。