2017年6月30日(金)
自衛隊は自民党のものか
稲田防衛相の即刻罷免を
稲田朋美防衛相が東京都議選の自民党候補者の応援で「防衛省、自衛隊、防衛大臣、自民党としてもお願いしたい」と訴えた問題で、菅義偉官房長官は、稲田氏が発言を撤回したことをもって、「誠実に職務を果たしてもらいたい」(28日の記者会見)と述べ、稲田氏の辞任の必要性を否定し擁護しています。
安倍晋三首相は28日夜の台東区内での自民党候補の応援で、稲田発言に触れることなく「都議選では迷惑をかけている。総裁としておわびしたい」と述べるだけ。自らの任命責任や繰り返される稲田氏の問題発言を野放しにしてきた責任に触れませんでした。
下村博文自民党東京都連会長(党幹事長代行)にいたっては、「サービス精神でいった」「これで辞任となったら、続けられる人はだれもいない」と全く無反省に開き直りました。
公明党は正式のコメントを出さず、だんまりを決め込んでいます。
問題は、軍事組織の政治的中立の維持という、国民の自由と民主主義の根本にかかわる問題です。稲田氏が選挙への影響を考慮して発言を「撤回」したからといって終わりにできる問題ではありません。安倍首相と与党の認識が厳しく問われます。
自衛隊が政権与党の選挙に組織として協力するということは、「自衛隊は自民党のための軍事組織なのか」という恐ろしい問題を提起するものです。自衛隊には「治安出動」として、「治安維持」の名のもとに国民に向かって武器を使う権限も与えられています。それが政権与党=時の権力のために行われれば、自由と民主主義は根本から崩壊します。だからこそ、公務員法や自衛隊法でも、自衛隊の政治的中立が厳しく定められているのです。
それを根底から否定する発言を防衛相自身が行ったことは重大です。稲田氏に閣僚としての資質はなく、辞任・罷免の要求は当然です。
秘密保護法、安保法制=戦争法、「共謀罪」法など、戦争準備、国民監視・弾圧法を次々強行してきた安倍政権だけに問題はいっそう深刻です。安倍首相は稲田氏を即刻、罷免すべきです。
(中祖寅一)