2017年6月21日(水)
責任放棄の国側釈明
おおすみ訴訟 原告側が批判
広島県沖で2014年1月に起きた海上自衛隊の大型輸送艦「おおすみ」(8000トン)が、釣り船「とびうお」(5トン未満)に衝突、沈没させ船長と釣り客が死傷した事件で、遺族らが国に賠償を求めている訴訟の第5回口頭弁論が20日、広島地裁(龍見昇裁判長)で開かれました。
原告側は、被告(国)に説明を求めていた(1)おおすみの衝突時刻(2)衝突時のおおすみのレーダーの読み取り方法(3)レーダー上の時刻遅れ(4)おおすみの位置情報などを記録したAIS情報の記録(5)操縦性能表の提出―などに対する国側の釈明と回答について陳述しました。
原告側の田川俊一弁護士は国側の対応について「何ら具体的な釈明になっていない」と反論しました。
国側の釈明と回答は「衝突時刻について秒数までの正確な時刻を記録していない」「時刻の遅れの原因について調査していない」「性能表は防衛対策上、外部に明らかにできない」など、死傷者を出した重大事故への責任と反省を投げ捨てたものでした。
原告側は、おおすみが衝突しながら、その時刻がわからないことはあり得ない、AIS記録は自分の艦船の動きを確認するうえで所持していないはずがない、などと指摘。そのうえで「操縦性能表もおおすみが衝突回避に適切な処置をとったと主張しており、それが適切であったか否かを判断するうえで必要だ」と提出を強く求めました。