2017年6月13日(火)
「東京裁判史観の克服」主張
稲田防衛相が雑誌に寄稿
稲田朋美防衛相は保守系月刊誌『月刊Hanada』(7月号)の「渡部昇一先生追悼特集」に「防衛大臣」の肩書で寄稿し、「東京裁判史観の克服」を主張しています。
稲田氏は寄稿の中で、渡部氏が稲田氏の全国後援会の会長に就任したときに寄せたという「日本の政治家に今一番必要なのは、東京裁判史観を破砕する知力を基礎にした勇気である」という文章を紹介。「先生のおっしゃる『東京裁判史観の克服』のために、固定概念にとらわれず、『客観的事実はなにか』を追及する姿勢を持つことが大切だ」と述べています。
東京裁判は、日本の侵略戦争を引き起こしたA級戦犯を断罪、日本政府はサンフランシスコ条約でこの判決を受諾しました。「東京裁判史観の克服」とはこの裁判を否定する議論で、侵略を受けたアジア諸国をはじめ国際社会で到底受け入れられません。戦争法で海外での武力行使に踏み出し、安倍晋三首相が9条改憲を明言する中で、国際的に厳しい批判を受けることは必至です。同裁判を受諾した日本政府の立場とも反するもので、このような主張をする人物に閣僚の資格はありません。
稲田氏は、防衛相就任前の2015年1月の衆院予算委員会でも「東京裁判史観からの脱却もまた重要なテーマだ」と主張。防衛相としても、16年12月にハワイ真珠湾訪問直後に、A級戦犯を合祀(ごうし)している靖国神社に参拝しています。