2017年6月9日(金)
友人の集まり 「共謀罪」対象
「組織的犯罪集団」 要件極めて曖昧
参院委で山添議員
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政府が“処罰されるのは組織的犯罪集団に限られる”と説明してきた「共謀罪」法案で、どんな集まりが組織的犯罪集団と見なされるかが極めて曖昧で、一般人が当局の判断次第で捜査や処罰の対象とされる危険性が浮き彫りになりました。8日の参院法務委員会で、日本共産党の山添拓議員が追及しました。
政府はこれまで、テロ集団や暴力団を例示し、すでにある強固な組織だけを取り締まるかのようなイメージを流布してきましたが、それが覆された形です。
山添氏は、複数人で行われる犯罪について、共犯と組織的犯罪集団の違いは何かを問いました。共犯なら計画の段階では処罰されない一方、組織的犯罪集団と見なされれば共謀罪の対象となり、計画段階で直ちに罪に問われることになります。
法務省の林真琴刑事局長は、組織性があるか否かだと答弁。現行法の「団体」と、本法案の「組織的犯罪集団」の要件に当てはまるか、つまり「継続的結合体」かどうかや、指揮命令関係や役割分担があるかどうかをみると、長々と述べました。
山添氏は、「継続的結合体に当たるために、どんな事実が必要なのかを一切言ってない」と批判。2008年の神戸地裁判決を例に、裁判の現場では、振り込め詐欺グループが「団体」と認定されていることを示し、「3人組にリーダーがいて、一定の役割分担があれば、団体にも組織的犯罪集団にも当たる」と述べました。この裁判で弁護側は「単なる友人の集まり」だと主張したものの、地裁は「団体」と認定しました。
山添氏は、実務では緩やかに認定されており、政府答弁と矛盾するとして「処罰されるか、されないかの境目が大変あやふやだ。本法案の本質的な問題だ」と批判しました。