2017年6月1日(木)
トランプ政権の軍拡に抗議デモ 米「退役軍人平和会」
国防費を教育・医療に
核兵器禁止条約「強く支持」
【ワシントン=池田晋】米反戦団体「退役軍人平和会」は30日、トランプ政権下で強まる軍事覇権主義と、米軍増強の動きに抗議して、首都ワシントンのリンカーン記念堂からホワイトハウス前までデモ行進しました。29日からの戦没兵を追悼する祝日「メモリアルデー」行動の一環。膨張する国防予算を教育、医療保険、インフラ整備、環境分野に振り向けることや、核兵器の禁止など、10項目の要求を掲げました。
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バリー・レーデンドーフ全国委員会議長はリンカーン記念堂前の集会で、米国の歴代政権が第2次世界大戦以来、世界中で他国の政権打倒を試み、数百万人を殺害し、国内では多くのホームレスを、国外では難民を生んできたと指摘。トランプ政権のシリア攻撃についても、「米国は脅かされておらず、憲法違反、国連憲章違反だ」と断じました。
平和会は1985年の設立時から核兵器の問題にも取り組んできました。レーデンドーフ氏は国連の核兵器禁止条約の議論について、「強く支持する」と本紙に語り、米政府へ交渉参加を促す書簡を送るなどしてきた経緯を紹介しました。
2009年まで海兵隊や国務省に勤務し、イラクとアフガニスタンへの派遣も経験したマシュー・ホウさん(44)は、トランプ政権がアフガン駐留米軍の増派を検討していることについて、「以前にもすでに試されたことで、うまくいかなかった。間違いだ」と話します。「米軍の駐留によって治安が悪化している。求められているのは、外交と仲裁だ。それは北朝鮮問題でも同じだ」と強調しました。
メーン州から参加したダグ・ローリングさん(70)はベトナム戦争の経験者で、85年に平和会を立ち上げた共同設立者の一人。「私はかつて帝国の道具だった。もしこの帝国を止めることができるなら、若者がこれ以上犠牲になることもない」と述べ、米国の覇権主義からの転換を喫緊の課題に挙げました。