2017年5月24日(水)
日本政府の抗議に反論
国連特別報告者 「何も中身がない」
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「共謀罪」法案はプライバシーを侵害するおそれがあるとの書簡(18日付)を安倍晋三首相に提出した国連プライバシー権に関する特別報告者のジョセフ・ケナタッチ氏は22日付で、日本政府の「抗議」に対して、「ただの怒りの言葉が並べられているだけで、全く中身のないものだ」とする反論を示しました。共謀罪に反対する弁護士やNGO(非政府組織)らが23日、国会内での記者会見で公表しました。
書簡に対して日本政府は18日、国連に提出した見解の中で「速やかに御説明する用意がある」としながら、具体的な回答をせず、国際組織犯罪防止条約(TОC条約)を締結するために同法案が必要だとの従来の主張を繰り返し、「我が国の説明も聞かずに一方的に公開書簡を発出したことに、我が国として強く抗議する」と述べました。さらに菅義偉官房長官は22日の記者会見で、ケナタッチ氏の立場を「個人であって、国連の立場を反映するものではない」と攻撃しました。
これに対してケナタッチ氏は「この抗議は、プライバシー権に関する私が指摘した多くの懸念またはその他の法案の欠陥について、ただの一つも向き合ったものではない」と指摘。また、実質的な反論・訂正がないまま法案を強行しようとしていることに対して、「これだけ拙速に深刻な欠陥のある法案を押し通すことを正当化することは絶対にできない」と述べ、強い憤りを示しています。
また、「共謀罪NO!実行委員会」の海渡雄一弁護士によれば、国連の特別報告者は国連の独立した人権専門家で、日本政府はその調査をいつでも受け入れることを国連人権理事会で約束しています。海渡氏は、「特別報告者は個人の立場」だとする菅氏の見解は「国連の手続きの意味を理解しないものだ」と批判しました。
その上で、「まず国連からの質問に答えるべきだ。国連からの質問を無視し、採決を強行するような対応は、日本が民主主義国家ではないと世界に公言するようなものだ」と指摘しました。